新型コロナで27日間入院していた神戸・酒井高徳の退院が伝えるメッセージとは?
Jリーガーとして初めて新型コロナウイルスに感染し、兵庫県内の医療機関に入院していたDF酒井高徳(29)が退院したことが25日、所属するJ1のヴィッセル神戸から発表された。 3月下旬から発熱や嗅覚異常などを訴えていた酒井は、新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査で陽性反応が出た同30日に入院。その後は自身のツイッター(@sakai_go1123)に<今日のごーとくんは元気です!笑>などと途中経過を投稿していたが、なかなか退院の運びにはならなかった。 新型コロナウイルスに感染した場合、24時間以上の間隔を空けて2度のPCR検査を行い、続けて陰性判定が確認されなければ隔離が解除されない基準が設けられている。SNSで軽症を報告しながら27日間もの長期入院を余儀なくされた酒井は、この基準をクリアできなかったと見られる。 酒井よりも後にPCR検査で陽性反応が出たセレッソ大阪のGK永石拓海(24)は入院から2週間、J2ザスパクサツ群馬のDF舩津徹也(33)は同じく16日間で退院。プロ野球で初めて新型コロナウイルスの感染者となった、阪神タイガースの藤浪晋太郎投手(26)の入院期間は13日間だった。 感染が判明した直後に、ヴィッセルは公式ホームページ上で事実を報告。酒井自身も感染者となったことで初めて語れる無念の心境を、クラブを通じてコメントとして発表している。 「自分もプロフェッショナルという精神を掲げ仕事をしていることを自覚し、人数の多い場所に行かない、消毒や手洗いをする等、気をつかって生活をしておりました。しかし、それでも、このようなことになり、大変情けなく思っております。今、自分から発信できる事は、コロナウイルスは本当にどこに潜んでいるかわからないという事です」(原文のまま)
東京や大阪など大都市圏で緊急事態宣言が発令される前の段階で、どれだけ予防していても感染してしまう新型コロナウイルスの怖さを酒井は伝えている。さらに入院中には発症から入院後までの自身の経過を、ツイッターで<熱、倦怠感、頭痛→2~3日後に熱が下がり味と匂いがしなくなった→6~7日で味覚と嗅覚が戻った>などと具体的に説明。その上でこんな言葉もつぶやいている。 <程度など期間は一人一人違うと思うので僕も医者ではありませんしわかりません。ただ不安になる気持ちは誰にでもあるので共有して少しでも伝えられたらと思いました>(原文のまま) 25日夜の時点でクラブを通じて、あるいは自身のSNSを介して退院に関して酒井のコメントは発表されていない。代わりにヴィッセルは、ホームページ上でこんな声明を綴っている。 「最前線で対応にあたっている医療従事者の方々へ心から感謝申し上げますとともに、ヴィッセル神戸は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全力で取り組んでまいります」(原文のまま) 永石や舩津、あるいは藤浪より長期の入院生活を酒井が強いられたことは、2度のPCR検査で続けて陰性が確認される点でも大きな個人差があることを物語っている。ゴールデンウィークが始まったいま、医療従事者にかかる負担を少しでも減らすためにもまず感染しないことの、不要不急の外出を避けて「ステイホーム」に徹することの重要さを、酒井の症例が伝えていると言っていい。 昨夏から所属するヴィッセルで、そして2年前のロシアワールドカップをもって引退した日本代表で周囲から慕われる酒井を象徴するように、SNSには退院を祝う数多くのメッセージが届いている。 動画投稿サイトYouTube内のクラブ公式チャンネルには、冒頭でヴィッセルのアンドレス・イニエスタ(35)が左手でサムアップをしながら日本語で「オカエリ、ゴウトク」と笑顔で登場。 昨シーズンまで所属したルーカス・ポドルスキ(34)や日本代表でともにプレーした香川真司(31)や原口元気(28)、Jリーグの村井満チェアマン(60)らも約4分間のメッセージ動画をアップしている。