新型コロナで27日間入院していた神戸・酒井高徳の退院が伝えるメッセージとは?
そのなかでも酒井より半年ほど早くヴィッセルに加入し、日本代表時代に引き続いて意気投合。行動をともにしていることが多い同学年の山口蛍(29)は、照れくさそうに粋なメッセージを届けている。 「高徳がコロナになったと聞いてオレが一番心配もしたし、逆にオレも罹っているんやろうなと思ったけど大丈夫やった。これがあったからと言って、オレが高徳といままでみたいにずっと一緒にいないというわけではないから。逆にいままで以上に一緒にいるかもしれないし、またお互いに頑張ろうぜ」 酒井の感染が判明した当時は、発症日以降に接触した人間が濃厚接触の定義とされていた。酒井の発症日は夜になって38度の発熱が確認された3月25日で、酒井自身は翌日の練習を欠席している。 それでもヴィッセルは事態を重視し、発症日から2週間さかのぼる範囲内で濃厚接触に該当する人間をリストアップ。所管する保健所へ提出して、細かい指示を仰いできた。 入院した時点で、酒井は「感染してしまった以上、僕には自分以外の方の感染がないことを本当に心から願うことしかできません」とクラブを通じて発表している。残念ながらトップチーム関係者2人の感染がその後に公表されているが、罹患を覚悟していた山口への2次感染は避けられたようだ。 家族や恋人、そして親友に代表される大切な人間たちをも大きなリスクにさらす、目に見えない未知の敵であると退院をもってあらためて伝えた酒井は、今後は自宅で静養しながらできる範囲の個人トレーニングを積み重ねて、入院中に大きく落ちたコンディションを作り直していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)