知花くららさん自邸リノベーションのビフォー・アフター。ダイニングキッチンには民藝の器たち
防音室の壁を取り、アーチに
防音の小さな居室がありましたが、空間を広く感じられるようできるだけ目線を通すため、壁を取りました。 構造上柱とブレースが残りましたが、アーチにして向こうの階段ホールを感じられるようにしました。子供たちが走り回ってもその気配と声を感じられるし、アーチをくぐりリビングに繫がる動線が意外と気に入っています。
自分の家だからできた、色々なアーチの実験
こちらは元の厨房(ちゅうぼう)部分。飲食店だったこともあり、立派な厨房スペースでした。 元々あった段差はフラットにして、リビングとダイニングキッチンの動線をシンプルにしました。こちらも、構造上抜けない柱を利用してダブルのアーチ開口に。 これまで色々と世界を旅する中で、どうしても気になっていたのが、アーチ開口。自分が“好きだな”“いいなあ”と思う空間には、かなり高い確率でアーチ開口や曲線のR壁が大切な役割をしていることに気づいて。いつか、このアイテムを自分の家のデザインに採り入れてみよう、と野望を描いておりました。 今回は、合計8カ所にアーチまたはR壁を採用。「こんなにアーチを作るんですか……?」と、工務店さんや職人さんに驚かれようとなんと言われようと、色々なアーチを実践して、それを体感してみたかったのです。 自分の家のリノベーションだからこそできる、実験。 “アーチ”と一言で言っても、実は色々なアーチがあってプロポーションを決めるのも繊細な作業です。今回は、現場で大工さんにフリーハンドで描いてもらいつつ、いろんなアーチデザインを協議しながら決定。図面で見るのと実際感じる曲線は、全然印象が違ったりして、奥が深いなあと実感。でも、だから楽しい。もっと他にもやってみたかった(笑)。
ミニマルでシンプルな螺旋階段
一目ぼれした、インドの150年の歴史があるというアンティークの扉のエントランスから入ると、こんな感じです。 そして、よくご質問をいただくのが、螺旋(らせん)階段。今回採用したのは、カツデンさんの『WAVES spiral』というプロダクトです。 ミニマルでシンプルな、折り紙のような踏面(ふみづら)と蹴込(けこ)みのデザインが気に入って。でも、子供たちもまだ小さいし不安があったのも事実。初めて螺旋階段を採り入れようと思う時、空間的にも安全面でもどんなふうになるのか想像しづらいアイテムだなと思いました。 そこで職人さんたちがなんと模型を作ってくださいました。これには本当に感動しました。 実際は、採り入れてみて大正解でした。一番のお気に入りポイントはその安定性。これにはちょっとびっくり。省スペースな上、デザイン性も叶(かな)います。民藝の品物たちとのコントラストもまた、いい雰囲気です。ただ、お掃除は少し大変!