「子どもがかわいそう」体験格差を危惧する人が見落としている、より深刻な「格差」“お金のない家”で育った女性が母親になって痛感したこと
我が家に「唯一あったもの」は…
「もったいない」とか「それは我慢」という言葉は毎日のように聞いていて、幼い頃は単純に「なんで?」と思ったことはありましたが、自分が不幸だとか親を恨むとか、今で言う「親ガチャに外れた」とかそんな感情になったことは一度もありません。なぜなら、たしかにお金はなかったけれど、常に「両親の笑顔」が我が家にはありました。 母に聞くと、当時は本当に家計がカツカツで、家計簿を見ながら夜な夜な頭を抱えることも少なくなかったようですが、両親共に子ども達の前でお金がないことを悲観的に捉えることは一度もなく、「ないものはない!」と笑い飛ばして、むしろそれを楽しんでいるようにも見えていました。その両親の姿勢こそが「お金がない=不幸ではない」と教えてくれたように感じます。 もちろんたまには喧嘩をすることもあったけど、「パパとママはお互いのことがすごく好きなんだな」と子どもから見ても本当によくわかるほど、両親はいつも仲良く笑い合っていました。「いつか好きな人と結婚してパパとママみたいになりたい」というのが私の本気の夢になっていたほど、両親が仲良く楽しそうに過ごす姿は子どもの心の幸せに直結していました。
今でも私の心に1番残っていること
たしかにお金はなかったけれど、それでもお金をかけなくたって楽しめる方法を常に模索して、笑顔を絶やさなかった両親のおかげで、私も妹も弟も本当に幸せでした。大人になってそれぞれ家庭を持った今でも、姉弟仲良く支え合って過ごせているのも両親のおかげだと思っています。 今でも家族が揃うと昔の思い出話をしてはみんなで笑い合うことも。「欲しいものプレゼン」を必死でやって、時にはかなり無理をした我が家にとっては高額な玩具を買ってもらったことも正直ありました。でも、今でも私の心に1番残っていることは、喉から手が出るほど欲しかったその玩具のことではなく、「小学校最後の運動会のかけっこでは、絶対に1番になりたい」と言ったら、普段は朝早くから夜遅くまで仕事で、平日会うことはほぼなかった父が、運動会まで毎朝一緒に公園で朝練をしてくれたこと。あとから母に聞いた話によると、「子どもの足が速くなる方法」みたいな本を古本屋で買ってきて、それをすき間時間に読んで走り方を研究してくれていたそうです。最後の運動会、1位でゴールテープを切る私の写真が載った卒業アルバムは、そんな思い出と一緒に私の宝物になっています。 週末のお出かけは無料スポットでも、海外旅行になんて行けなくても、たくさん習い事をしていなくても、欲しいものが買ってもらえなくても、両親が楽しそうにしているだけで、家族みんなが楽しくて、幸せな幼少期でした。それは一重に、両親の愛がたくさんたくさん詰まっていたから。 溢れる情報に振り回されていませんか? どこへ行ったとか何を習ったといった体験格差は、正直大人になってからでも埋められますが、“心の格差”はどうでしょう? ぜひ今できること、今ある幸せを大切に過ごして欲しいなと心から願っています。 【Profile】れみ(@kosodate_cheeringonallmoms) 小2、年中、2歳を育てる3児のワーキングマザー。ひょんなことから英語力ゼロで米国の現地校に転入し、国内の大学を経て大手商社に総合職として入社。海外出張経験は100回以上。TOEIC満点・英検1級。 1人目の育児で産後うつ、育児ノイローゼを経験したことから、現状打破のため脳育の観点から子育てを学び、子育てに関する資格を複数取得。・通訳案内士・TECSOL(児童英語教師)・乳幼児教育アドバイザー1級・脳育ベビーマッサージセラピスト・育児インストラクター。インスタグラムではママの心が軽くなる育児法やマインドセット、英語教育についてのあれこれを公開中。