【特集】“殺傷能力のある武器”の輸出がついに解禁 5年で43兆円の予算に、新規参入企業も続々 技術力・防衛力の発展に繋がるのか?それとも…過熱する「日本の防衛産業」の今を追う
2023年12月22日、日本政府は方針を大きく転換し、ミサイルなど“殺傷能力のある武器”の輸出を解禁。「防衛力強化」を掲げ、5年間で43兆円という破格の予算が組まれるなど、防衛産業に大きな変化が起きています。新規参入を目指す企業が増え、中には一見関係なさそうな会社も…過熱する「日本の防衛産業」の今を追いました。 【動画で見る】続・防衛 次期戦闘機も輸出可能に?賛否渦巻く中、「防衛産業」に新規参入が続々…日本の平和は守れるのか?
世界有数の技術力誇るも存続の危機にあった “日本の防衛産業”
この日、兵庫・神戸市にある工場では、メンテナンスを終えた機体が、企業から海上自衛隊に引き渡されました。その名は「US-2」―国産の救難飛行艇です。水陸両用で、海面をたった280メートル滑走するだけで飛び立つことができます。さらに、機体の先端部分に「波消し装置」と呼ばれる部品を付けることで、波の高さが3メートルもある荒れた海でも着水可能に。どちらも世界最高レベルの性能です。
(海上自衛隊・鈴木利周機長) 「洋上で迅速に救助できるのは、『US-2』だけであります。人命救助においては、重要な航空機であると考えます」
「US-2」のような、世界有数の高い技術で自衛隊を支えているにもかかわらず、日本の防衛産業は存続の危機に瀕してきました。 (田中克夫事業部長) 「ほぼ赤字になるかならないかぐらいのところで、推移しています。いかに生産ができるように続けていくかは、一番苦労しているところです」
その大きな理由は、受注先がほぼ自衛隊だけに限られていることです。自衛隊からの受注は、数年に一度しかない企業もあります。しかし、その間も設備や技術者を維持するなどコストがかさみ、ビジネス面でのうまみが少なく、日本の防衛産業に関わる企業は直近20年で100社以上が撤退しました。そこで政府は、5年間の防衛費をこれまでの約1.5倍の43兆円に増額し、国内の防衛産業の支援を次々と打ち出しました。
防衛費の大幅増加で中小やベンチャー、新規参入続々 「武器は作れないけど、心を」「3Dスキャンで傷発見」…これまで縁がない企業が見据える“日本の防衛”
撤退が相次いでいた日本の防衛産業ですが、防衛費の大幅増加によって、今、新規参入が相次いでいます。2023年10月、大阪・梅田で開かれた防衛産業の展示会には、これまで「防衛」とは全く縁がなかった中小やベンチャー企業が多く出展していました。
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