更年期障害の症状は? ~女性の体と心の変化を理解しよう~
「40代を過ぎ、最近は体の調子が悪く、やる気が出ない。疲れやすくもある。もしかして、これが更年期の症状?」 そんな疑問を抱いている女性も多いのではないでしょうか。そこで今回は、更年期障害を症状別に解説します。
◇閉経を挟んだ10年
更年期とは閉経前後の各5年、計10年程度の期間を指します。女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が振れを伴いながら急激に減少することで訪れます。エストロゲンは女性の体のさまざまな機能を調節する重要な役割を担っているため、その減少は体に大きな影響を与えます。更年期は女性の人生における大きな転換期であり、身体的にも精神的にも変化が表れる時期なのです。
◇前と後で症状に違いも
更年期障害の症状は、閉経の前と後で異なる傾向が見られます。閉経に至る前の時期は、月経不順やホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、発汗)など、主に身体的な症状が目立ちます。一方、閉経を過ぎると、抑うつ気分や不眠症など、精神面の症状が増加する可能性が高くなります。一般的には、閉経前の時期の方が、さまざまな症状が強く表れやすいと言えます。 ただし、症状の重症度には大きな個人差があります。ある人は軽微な自覚症状しかない一方で、別の人は日常生活に支障を来すほど深刻な症状に悩まされるケースもあるのです。
◇のぼせ、いらいら、不眠…不調さまざま
更年期障害の代表的な症状について、詳しく解説していきます。 ▽ホットフラッシュ 一つはホットフラッシュです。エストロゲンの減少によって自律神経のバランスが崩れることで生じます。特に、夜間に着替えをしなければいけないほどの発汗が起こることが多く、睡眠の質の低下につながったりします。 ▽肩凝り・腰痛・背中の張り・手のこわばり 自律神経が乱れると、血行不良が起こりやすくなります。その結果、肩凝り、腰痛、背中の張りなどが表れる場合があります。また、骨密度が低下して骨盤がゆがんだり、筋肉量が減少したりし、症状が悪化することもあります。起床時には、関節リウマチの主な症状として知られる手のこわばりがよく見られます。 ▽疲れ 疲れやすくなったり、やる気が出なくなったりします。身体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も感じやすくなります。 ▽いらいら エストロゲンには、脳内の神経伝達物質の働きを調整する作用があります。エストロゲンが減少すると、いらいらや不安、落ち込みなど感情の起伏が激しくなることがあります。 ▽不眠 寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったり、夜中に何度も目が覚めたりするなど、不眠に悩まされることがあります。良質な睡眠は心身の健康維持に不可欠です。睡眠の質の低下は、日中の疲労感や集中力の低下につながります。 ▽めまい ホルモンの分泌減は、めまいや立ちくらみの原因にもなるのです。特に、急に立ち上がったときにめまいを感じることがあります。ひどい場合は、吐き気を伴うこともあるでしょう。脳への血流の変化が関係していると考えられています。 ▽不安感・うつ状態 気持ちが不安定になりやすく、ささいなことで不安になったり、涙もろくなったりします。中には、うつ状態に陥る方もいるでしょう。ホルモンバランスの変化が感情の起伏に大きく影響しているのです。 ▽動悸・息切れ 動悸(どうき)や息切れなどの症状が表れることがあります。運動時や階段の上り下りなどで息切れを感じやすくなるときは、貧血が隠れていることも多いので、ホルモン検査と併せて採血検査をお勧めします。