「膣カンジダ」の塗り薬の正しい使い方はご存じですか? 処方薬と市販薬の違いや生理中の使用も薬剤師が解説!
膣カンジダの塗り薬を使用する時の注意点とは?
編集部: 膣カンジダの症状が初めて出る場合、市販薬を使っても大丈夫ですか? 山口さん: 市販のカンジダ用外用薬は、「一度カンジダ症の診断を受けたことがあり、再発した方」のみに限定されています。初めてカンジダ症状が出た場合は別の原因の可能性も考えられるため、市販薬ではなく病院に受診して専門医の指示に従ってください。 編集部: 内部まで症状があるように感じた場合、膣の中に塗っても大丈夫ですか? 山口さん: 粘膜部分である膣の内側まで塗布するのは避けましょう。なぜなら、通常塗り薬は皮膚用に作られているからです。皮膚よりも薬の吸収が良い粘膜に塗ってしまうと、作用が強く出てしまい副作用のリスクにつながります。おりものや熱感など膣内の症状が気になる場合は、膣錠の使用を検討してください。 編集部: 膣カンジダの塗り薬とステロイドの塗り薬を一緒につかっても大丈夫ですか? また、皮膚に重ねて塗ることでかゆみを抑える効果は強くなりますか? 山口さん: 悪化の原因になるため、カンジダ症状がある部位へステロイドの塗り薬の使用は避けましょう。カンジダ症を発症しているときは、免疫力が低下しています。ステロイドは免疫抑制効果があるため、患部に使用するとカンジダの真菌が増えて症状を悪化させる可能性があります。また、膣カンジダの塗り薬とステロイドの塗り薬は効果が全く違うため、重ねて塗る、たくさん使うなどで効果が高まるものではありません。 編集部: どの程度の量を塗ったらよいですか? 山口さん: 人差し指の指先から第一関節まで出した量(約2cm)が目安です。患部より少し広めに塗りましょう。この時、強い力で塗ると外陰部の薄い皮膚にダメージを与えてしまうので、優しく塗るようにしてください。入浴後またはぬるま湯で患部を清潔にした後のタイミングで塗ると良いでしょう。
こんなときはどうする? カンジダの塗り薬で起きやすいことは?
編集部: カンジダの塗り薬は女性の生理中に使用できますか? 山口さん: 生理中は衛生上よくないので、使用しないようにしてください。せっかく塗ったお薬も血液で流れてしまい、効果が得られない可能性があります。カンジダの塗り薬を使用中に生理になってしまった場合も、途中でお薬の使用を中止してください。また、膣錠も同じように、生理中の使用は控え、途中で生理になった場合は使用を中止してください。 編集部: カンジダの塗り薬の使用中に性交渉をしてもよいですか? 山口さん: カンジダ症の症状がある場合や治療中は、性交渉は避けてください。症状が治っておらず、カンジダの菌がいる状態で性交渉をすると、パートナーに感染する可能性があります。パートナーの方にも発疹やかゆみなど気になる症状がある場合は、必ず病院へ受診してもらいましょう。 編集部: 塗り薬を使用し始めてからしばらく経過してもかゆみの症状が続いている場合は、塗り薬を続けても大丈夫ですか? 山口さん: 処方薬を使用している場合は、医師の指示に従いましょう。ただし、一週間程度以上症状が続くようであれば再度受診を検討してください。市販薬の場合は、6日以上使用しても症状が続き、改善が見られないようであれば使用を中止して受診してください。 編集部: おりものと一緒に膣錠が溶けたものが出てきた場合は、新たに新しい膣錠をもう一度使用したほうがよいですか? 山口さん: 新しいものを使用せずに様子をみてください。膣錠が溶けたものがおりものと一緒に出てきて驚かれる方もいるでしょう。これは、役目が終わった膣錠がおりものと一緒に体外へ出てきている状態です。膣内で役割を発揮した後のものなので心配はいりません。下着に付着するのが嫌な方は、おりものシートを使用してください。連日使用するタイプの膣錠は、通常通り次回のタイミングで使用しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 山口さん: 今回は、カンジダ症の中でも膣カンジダ治療のための塗り薬についてお伝えしました。カンジダ症は、正しく治療を行えば一週間ほどで改善が期待できます。自己判断で間違った薬の使い方やケアを行うと、症状が長引く可能性もありますので、不安のある方は医師や薬剤師に相談しましょう。