売り物なのにマジか!? クルマを知らないどころか間違えた情報を伝える新車セールスマンが増えた理由
優秀なセールスマンにはメカニック出身が多かった
そもそも、「トップセールスマン」とも呼ばれる優秀なセールスマンはメカニックから新車販売へ転用された人が多かったと聞く(いまは働き手不足なのであまりないようだが)。いまとは異なり、潤沢に新人メカニックを採用できたころは、メカニックとして一定のキャリアを積むと多くの人は新車販売業務へ転用となるケースが目立っていた。メカニックともなれば、商品知識以前に自動車の構造を知り尽くしているので、その語り口に対する信頼度は俄然高まっていき、それほど値引きをしなくても多数の新車を売ることになり、トップセールスマンになることが多かったようだ。 ただし、これはあくまで傾向としての話となる。セールスマン個々にはそれぞれ独自の販売スタイルがあり、買う側であるわれわれ消費者もセールスマンに求めるものは異なるので、そのマッチングができたときに「新車を買ってもらえる」ということが成立するのである。 ただし、お客が「売り子」という認識をもてば商品知識や自動車の知識はそれほど重要視されることなく、商談は値引き交渉に終始するだろう。一方で、「新車販売のプロフェッショナル」という印象を与えることができれば、「この人から買いたいなあ」という意識も高まり、それほど値引き要求もタイトなものとならないケースが多いようだ。つまり、セルフプロデュースという面でも、商品知識が中途半端もしくはタブレット端末頼みというよりは完璧に自分の「もの」にしていたほうがいいものと筆者は感じている。 新車購入は納車後も法定点検などで担当セールスマンとのつきあいは続く。その意味では「頼れるセールスマン」を求める人も多いのだが、販売現場ではそのような意識を高くもったセールスマンに出会う機会が減ってきているように感じている。
小林敦志
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