斎藤知事と風呂場で語り合った「1コ下」の元担当記者がみた知事の素顔 就任3年間で斎藤知事に何があったのか...
「3年のあいだに、こうも変わってしまうのか」。 兵庫県の斎藤元彦知事が就任した2021年、私はカンテレ神戸支局のキャップだった。 ■【動画で見る】斎藤知事「自分を変えて県政を前に」改めて辞職は否定 証人尋問終了後の取材に 繰り返し頭下げて答える 斎藤知事の言動をめぐる一連の報道を見ると、驚くほかない。稚拙な面も多かったが、行動力・瞬発力があり、期待もしていたからだ。今だから言える裏話も交え、「話題の人」斎藤知事について書きたい。
■「左遷ですかあ?」東京で遭遇した斎藤知事の愛嬌
私は今、東京駐在記者として主に国会の取材をしている。 今年4月、国会内の地下道で、斎藤知事の一団とバッタリ遭遇した。何かの公務で上京したのだろう。「いやーご無沙汰してますー」と声を掛けると、知事の顔はほころんだ。 傍らには、後に体調不良で降格を願い出る小橋浩一理事、後に休職し更迭される総務部長の姿もあった。 東京に異動したと伝えると、斎藤知事は「左遷ですかあ?」と3回聞いてきた。こういう面白くない毒舌が斎藤知事らしい。 だが、驚いたのはその後だ。 私の肩書きが変わったので名刺を差し出すと、斎藤知事は側近に「おい名刺!」と言った。就任当初は、年上の幹部に「おい」などと言う場面は見なかったので、驚いた。 この時はすでに、前県民局長による告発文書が出回り、県の公益通報窓口にも提出された後だった。斎藤知事に「何か最近の県庁、大変みたいですねえ」と聞いてみると、一瞬で渋い顔になった。
■待たせても怒らなかった斎藤知事
最新の取材によると、斎藤知事は、待たせると激怒するらしい。だが3年前は、そんな様子は見えなかった。 2021年11月、兵庫県は万博会場への輸送も見据え、神戸港の遊覧船を海上クルーズ船として活用できないか社会実験を行うことを決めた。夕方ニュースで船の前から生中継をしようと準備していると、「あれっ鈴木さん!こんなとこで何してんの?」と声が聞こえた。後に斎藤県政で総務部長となる秘書広報室長だった。 秘書広報室長「知事が今そこにいるから、出てもらう?」 その時、本番15分前。私は大阪本社に「知事の名前テロップだけ用意してくれ。後はこっちで何とかする」と急いで伝えた。 すぐにやって来た斎藤知事は、電話で打ち合わせする私を笑顔で待ち、リハーサルにも参加した。 斎藤知事「ようそんな、原稿もないのにペラペラしゃべれますねー」 筆者「まあこれが商売ですから…」 そんな会話をしながら、その頃の斎藤知事は、10分待たせても怒ることはなかった。