斎藤知事と風呂場で語り合った「1コ下」の元担当記者がみた知事の素顔 就任3年間で斎藤知事に何があったのか...
誘われた石川憲幸県議は、「男に男が惚れるとはこのことか」と斎藤知事をいたく気に入り、支援に回った。石川県議は疑惑発覚後も、百条委員会設置をめぐる採決で、会派の決定に背いて反対し、「斎藤支持」を貫いた。
■ヨイショの「新県政の副知事」 叱る「旧県政の副知事」
片山安孝副知事(当時)の「号泣会見」は、なかなか衝撃的だった。 片山副知事は、斎藤知事が就任した後に副知事になった人物だ。就任当初、県職員に「片山新副知事ってどんな人なんですか?」と聞くと、「良くも悪くも声がデカい人」だという。ユーモアと、時に強引な突破力で、県庁の有名人だったそうだ。 2021年12月、芦屋市のヨットハーバーで開かれた「兵庫・大阪連携会議」を思い出した。出席した大阪府の吉村洋文知事が、兵庫県の幹部に直接、「大阪府と連携を進めるための組織」をつくる意思があるか確認する場面があった。片山副知事は「素晴らしい」「全くその通り」と、吉村知事の発言を褒めちぎりながら、組織づくりを約束していた。
当時、副知事がもう1人いた。井戸敏三前知事時代から留任していた、荒木一聡副知事(当時)だ。県幹部らによると、荒木副知事は「斎藤知事の教育係」とも言われ、「知事、それはあきません」といさめる場面も多かったという。だが、任期途中の2022年3月で退任している。 私はその荒木元副知事とも、東京でバッタリ会った。 今年7月、参院議員会館を訪れていて、「なぜ東京にいるのか」とお互いに驚いた後、斎藤知事のことも聞いてみた。腹に据えかねる思いもあるはずだが、荒木元副知事は「斎藤知事には同じ話だけでなく、県民が知りたいことを、しっかり説明してほしい」と語るだけで、斎藤知事を悪く語るようなことは一切なかった。私情ではなく県民の視点でモノを語る。こういう大人になりたいと純粋に思った。
■“霞ヶ関”の先輩「あの斎藤がパワハラ?信じられない」
会合で総務省の幹部と同席したことがある。斎藤知事は総務省の官僚だったが、「先輩」からはどう見えていたのか。その幹部は、「しゃべりはとても下手だが、優秀だ」と繰り返した。今回のパワハラ疑惑については、「あの斎藤が?と信じられなかった」と話していた。 兵庫県選出の様々な党の国会議員にも聞いてみたが、「腰が低いソフトな人という印象だったので、報道には驚いた」と口をそろえる。