「その家事のやり方、非効率だよ」…妻を「人格否定」「洗脳」「奴隷化」する《無意識モラハラ夫》のヤバすぎる実態
コロナ禍以降、生活スタイルの変化に伴って夫婦の時間が増えた結果、熟年離婚が相次いでいる。離婚の原因を紐解いてみると、夫婦関係のほんのささいな不満に根ざしていることも少なくない。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 本連載では、離婚カウンセラーとしてこれまで約4万件もの離婚相談を受けてきた著者の新刊『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(岡野あつこ著)より一部抜粋・再編集して、夫婦関係におけるトラブル回避のためのノウハウをお届けする。 身近な人間関係に対するコミュニケーション技術は夫婦間の問題のみならず、職場や家庭、子どもや介護にまつわる悩みの解決にも役立つはずだ。 『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』 連載第2回 『「夫のちょっとした行動が許せない」→「まさか離婚話にまでなるなんて」...「結婚20年」に隠れた《熟年離婚》のワナ』より続く
熟年離婚が増えている
いま、熟年離婚がますます増加しています。熟年離婚とは20年以上同居した夫婦が離婚することですが、2022年にはその年に離婚した夫婦の約23.5パーセントと、戦後すぐの1947年に統計を開始してから、過去最高となってしまいました。離婚した夫婦のうち、4組に一組が熟年離婚というほどです。 私はこれまで約4万件の離婚相談を受けてきました。 離婚相談というと、「夫が外に愛人をつくって家にお金を入れないから離婚したい」といったケースをイメージされる方が多いかもしれません。 たしかに、かつての離婚相談はそういった「不貞行為や金銭トラブルなど、夫もしくは妻が問題行動を取っている」ケースが大半でした。 しかし、最近そういう「夫の不倫・問題行動」に由来する相談は減っています。代わりに増えているのが「モラルハラスメント(モラハラ)」、および「価値観の相違」の相談です。
「だからお前は人としてダメなんだ」
「モラハラ」とは一言で言うと「道徳・倫理に反する嫌がらせ行為」です。 たとえば専業主婦の妻に対して「家事のやり方がおかしい」と難癖をつけ、「だからお前は人としてダメなんだ」といった人格攻撃を繰り返す、などの行為が「モラハラ」とされます。 こうした「モラハラ」は三船美佳さんと高橋ジョージさんの離婚騒動がきっかけとなり、日本でも広く知られるようになりました。 家族に暴力を振るう「ドメスティック・バイオレンス(DV)」に対して、暴力を振るうことはないが、相手の人格を否定したり、侮辱したりして精神的に傷を負わせる点に特徴があります。 DVの問題点について広く認知されるようになり、逮捕のリスクや裁判を恐れて、身体的暴力を自制する人が増えました。代わりにパートナーへの怒りを、言葉や態度で表明する人が増えた結果、「モラハラ」が急増しています。