「自分はまだ“か弱い”エネルギー」六車日那乃が継承する“上田桃子スピリッツ”
<JLPGA ファイナルQT 3日目◇28日◇葛城ゴルフ倶楽部 宇刈コース(静岡県)◇6454ヤード・パー72> 六車日那乃が私服姿がかわいい【写真】 “姉弟子”の姿勢を、プロ生活の礎にする。今月1日まで行われていた最終プロテストに5度目の挑戦で合格した六車日那乃は、トータル3オーバーで最終日に向かう。来季のレギュラーツアー前半戦フル出場が見込まれるライン上の32位タイ。緊張感のあるラスト18ホールになる。 風速6.3メートル/秒と葛城らしい強風のなかでのラウンドは、前半の6番までに3つのボギーを叩く苦しい幕開けになった。8番パー4では下り4メートルのスライスラインを沈め初バーディも奪ったが、後半も1つ落とし「75」。振り返る時も「う~んって感じ…」と、その表情は浮かない。ただ、平均ストロークが『74.7961』(+2.7961)だった過酷な一日を考えれば、及第点といえる。 「みんな頑張ってるし、みんな苦しいはず。私も苦しみながら耐えたいと思っていました」。そう歯を食いしばるなかで生きたのは、プロテストの経験だった。六車は最終テスト最終日のあがり18番ホールでボギーを叩いたことで、一度は不合格を覚悟し涙を流したが、その後カットライン上ながら通過が決定。「(プロテストで)諦めないことが大事だと学びました」。これを改めて痛感する一日でもあった。 今週は指導を受ける辻村明志コーチがキャディを務め、師弟コンビで来季のレギュラーツアー出場権獲得を目指している。そんな“辻村一門”は、精神的支柱ともいえる上田桃子が今季限りでのツアー撤退を表明して揺れた。これには六車も「インスタグラムの発表(11月3日)で知って、ビックリしました」と驚きを隠さない。それと同時に、「もっと早く(プロテストに)受かっておけば、もう少し一緒にやれたのに」という思いもこみ上げてきた。 ここ2年間はオフの宮崎合宿で1カ月ほど寝食をともにし、プロフェッショナルの姿勢を学んできた。プロテスト合格後には、目標にする選手として、その名前を挙げたほど尊敬する選手だ。ただ、この知らせを受け、「桃子さんもいないし、私が頑張らないとという思いです…私なりに」と責任感も増すことに。ここからその“精神”をしっかりと継承していく。 「(上田は)すごく人間味があって、自分をそのままゴルフで表す選手だと思います。ああいうエネルギーは大事。自分は…まだ“か弱い”、小さなエネルギーですけど、それをもっと強く出していきたいです」 おっとりとした口調で語られる決意。そのためには、プロ1年目からレギュラーツアーで多くの経験を積むことも重要になる。最終日の意気込みを聞くと「集中力がすごく大事になる。最後まで諦めずやるだけだと思います」という答えが返ってくる。試合会場で上田もよく口にしていた“集中力”を、最大限まで高めていく。(文・間宮輝憲)