【コラム連載スタート!】元テレ東アナウンサー・池谷実悠が明かす「新婚だった私が中国に渡った理由」
〈9月末にテレビ東京を退社した元アナウンサーの池谷実悠(28)。今秋に中国に渡り、大学院生として新たなスタートを切った。そんな彼女が隔週で、中国での留学生活についてレポート。その様子を連載でお届けする〉 【画像】池谷実悠、かわいすぎる大学4年生時代の写真を公開! みなさん、こんにちは。’19年4月に入社し、5年半在籍したテレビ東京をこの9月に退社した、池谷実悠です。 先日はSNSで「海外で大学院生として生活している」と報告しましたが、この秋、中国・天津にある大学に入学し、翻訳や通訳、同時通訳の方法と、実践的な研究について勉強しています。毎週、宿題が山のように出ており、慣れない環境で大変な日々を過ごしていますが、中国人の同級生たちにたくさん助けてもらいながら、なんとか頑張っています。 縁あってFRIDAYデジタルで私の連載が始まることになりました。中国での留学生活についてたっぷり発信していきますので、どうぞよろしくお願いします。 ◆なぜ中国? なぜ今? 第1回は、みなさんが関心を持っているであろう「なぜ中国の大学院に進学することになったのか」、その経緯についてお話ししたいと思います。 キッカケは何かといえば、大学時代に卒論執筆のために中国へ行ったこと、です。それまで、中国に関してネガティブな報道を目にすることが多く、あまりいいイメージを持っていなかったのですが、カタコトの中国語で話す私に、中国人の方たちは親切に接してくれました。人の温かさに感動して、「いつかこの国の言葉を使って、この国の人々と交流してみたいな」と思ったのを今でも覚えています。 本格的に中国語を勉強しようと思いましたが、半年後にはテレビ東京に入社することが決まっていたので、その準備で手一杯。入社後は、昼は仕事、夜は仕事の関係者との飲み会に出かけるという生活をこなすので精一杯で、あっという間に時が過ぎていきました。 私の同期は、去年3月にテレ東を卒業した森香澄と、今もテレ東で頑張っている田中瞳です。二人は就活中から一目置かれる存在で、私とは違うキラキラしたオーラを纏っているように見えました。一緒に研修を受けていても、二人に比べて私の成績表は明らかに二重丸が少ない。圧倒的な差を感じました。比べられた時に選ばれる存在にならなきゃと焦りを抱えていましたが、次第に“こういう人たちがプロのアナウンサーになるんだな”と、もはや焦りすら感じないようになっていました。 そんな私に声をかけてくれたのが、元テレ東プロデューサーの高橋弘樹さんでした。「自分の好きなことを突き詰めて、それらを掛け合わせていけば、唯一無二の存在になれるかもしれない」と言ってくれました。 その言葉を聞いて、誰かの好きに合わせて選ばれるのを待つのではなく、自分の好きなことを、強みにできるまで磨き上げることのほうが私には合っているかもしれないと、希望が見えました。何か新しくやり遂げることができたら、挫折して倒れそうになった時に自分を支える杖になるのではないか。そう思い、コロナ禍でできた時間を使って、本格的に中国語の勉強を始めました。 目標をHSK6級(編注:中国語の語学検定試験。1級から6級があり、最高級の6級は5,000語以上の常用単語を習得している人を対象とする)合格に定めると、そこから猛勉強の日々。朝早く起きて、仕事の前にHSKの過去問を解きます。昼休みには食事をしながらリスニングのCDを聞きます。帰宅後は朝解いた過去問の復習をします。毎日、私の頭の中のモーターが音を立てて、フル回転するのを感じていました。 あの頃を振り返ってみると、なぜあんなに頑張れたんだろうと自問自答することがあります。その答えは、子供の時の体験にありました。 私は「普通の子供」ではありませんでした。隣の家の犬を勝手に散歩させたり、幼稚園の鳥を逃がしたり……自宅の鍵をなくした時は、壁をよじ登って二階の窓から侵入しました。いつも奇想天外な行動をしていて、親を困らせてきました。 悪気がないのになぜかいつも怒られていて、それが悔しいから、習い事や学校の行事、受験勉強に対しては、いつも自分で目標を作って頑張ろうと決めました。その姿勢だけは褒めてもらえた。今も幼少期のその記憶が、私の原動力になっているかもしれません。 アナウンサーとなった後、 『もっと司会者を立てるような、女子アナらしい立ち振る舞いをしたほうがいい』 『周りの人みんなを惚れさせるくらいの心意気で取り組むべき』 と“アドバイス”されたことがありました。 果たして本当にそれでいいのか。よくよく考えれば、いくら他人からそう言われたとして、実際に行動を起こしたら、その責任は自分しか取れません。常に自分がどう思うか、どうしたいかで自分自身の行動を決めたい。そして決めたことは、絶対に最後まで頑張りたい。 私の中では“自分で決めた”ということにすごく価値があります。だからこそ、海外という新しい世界に飛び込む勇気が持てたのだと思います。 ◆「留学するなら、今しかない!」 留学を視野に入れたのは、目標達成まであと一歩のHSK5級を取得する頃でした。本格的に勉強を始めて2年が経っていました。ただ、読み書きはできるようになっても、会話は一向にできないというジレンマを感じてもいました。会話力を上げるには留学しかない、と自然に考えるようになりました。 何より、大学生の頃、静岡から東京に来た時に感じた、自分の世界が広がって、これから何にでもなれるというようなワクワクを、もう一度感じてみたい。アラサーと呼ばれる年になり、今年3月に結婚もしました。子供ができたら、自分1人で留学に行くなんて現実的ではなくなります。新婚での別居は驚かれましたが、今を逃したら、一生行けなくなるような気がしました。気づいたら、留学の意志は固まっていました。 行くなら、今しかない。すぐに受験の手続きを進め、晴れて大学院に入学することが決まりました。 中国で、禿げない程度に(一度ストレスで禿げた……)頑張って、人生の杖を増やしていきたいと思います。 文・写真:池谷実悠
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