ウルフアロンが粋なプレゼント「日本に親しみを持ってもらえるように」ウクライナ選手団と交流
全日本柔道連盟(以下、全柔連)がウクライナの柔道選手を支援することを目的として、柔道交流会を開催した。30日に行われた「技の講習会」には、今夏のパリオリンピック™柔道柔道混合団体銀メダリストであり、東京五輪では100キロ級で金メダルを獲得したウルフアロン(28・パーク24)が登場した。 全柔連は、自国で十分な練習環境が確保できないウクライナの柔道選手を支援するため、13~20歳を中心とする選手の受け入れを行っており、今回は昨年に続いて2回目の実施となる。実施にあたっては日本オリンピック委員会がスポーツ庁から受託した事業である「ポストスポーツ・フォー・トゥモロー推進事業(国際情勢に応じた海外アスリート支援事業)」が支援し、10月14日~11月1日にかけて約30人の選手団が柔道を通して交流している。 その活動の一環の「技の講習会」では、ウルフがウクライナの選手団に対し、自身が得意とする大内刈や内股を披露。世界の第一線を渡り歩いたウルフの一挙手一投足を、参加したウクライナの選手たちは真剣な眼差しで見つめた。講習会後にはウルフから、日本に親しみを持ってもらえるようにと願いを込めて箸が贈られた。一方ウクライナの選手団からは伝統的な人形とウォッカが贈られ、友好を深めた。 「初めて海外の選手に技の指導をしたが、ジェスチャーや単語を使うことが大事だと気づいた。一人一人が真剣になって指導を受けてくれたし、わからないことがあったら聞きに来てくれて、僕としても楽しかった」とウルフも充実した時間を振り返った。 ロシアによる軍事侵攻から約2年半が経つも、いまだ収束しないウクライナ戦争。今回参加した選手の約半数は、父や兄弟が戦場に行っているという。ウルフは「僕たちが柔道をやれていることは当たり前じゃないと改めて感じたし、僕に何かできることがあればという気持ちを持った中での今回の活動だった。もっともっとやれることがあれば」と語った。
■ウルフアロン 1996年2月25日生まれ、東京都葛飾区出身。身長181cm・100キロ級。パーク24所属。祖父の勧めにより、講道館にある春日柔道クラブで6歳の時に柔道を始める。2017年には全日本選抜体重別選手権で二連覇を飾り、世界選手権も優勝。2019年全日本選手権を制し、2021年には東京五輪100キロ級で日本に21年ぶりの金メダルをもたらす。合わせて史上八人目の柔道三冠(世界選手権、オリンピック、全日本選手権)を達成。今夏に行われたパリ五輪では混合団体で銀メダルを獲得。
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