欧州移籍の柿谷 アギーレジャパンのサイドアタッカーとして輝けるか
ちょっとしたデジャブを感じずにはいられなかった。ちょうど1年という時空を超えて、日本代表FW柿谷曜一朗(バーゼル)がくしくも同じ横浜国際総合競技場の取材エリアとなるメインスタンド下のミックスゾーンで、ほぼ同じ言葉を口にしたからだ。 2013年9月8日。未明に地球の裏側から飛び込んできた「2020年東京五輪招致決定」のビッグニュースは日本中を興奮させ、横浜市内で合宿中だったザックジャパンたちをも刺激した。必然的に、朝食の席での会話は「オーバーエイジで誰が出場するのか」に染まった。 大いに盛り上がった輪の中で、当時はセレッソ大阪のエースで、ザックジャパンのワントップの座を射止めつつあった柿谷だけは堅い表情を崩さず、2日後のガーナ代表との国際親善試合を見すえていた。「7年後の話しなんて、いままで一度もしたことがない。僕は明後日のガーナ戦のことだけを考えている。ワールドカップやオリンピックのことを聞かれても、何ですかという感じですね」。 そして、2014年9月8日。ベネズエラ代表との国際親善試合を翌日に控えた柿谷の耳に、今夏まで所属し、いまも深い愛情を寄せるセレッソのシーズン2度目の監督解任劇が飛び込んできた。ミックスゾーンでは当然、激震に見舞われた古巣への感想を求められる。 ――セレッソの監督が再び交代しましたけど。 「いまは明日の試合のことしか考えていません」。 ――あまり気にしない、ということでしょうか。 「あまりというか、明日の試合にしか集中していません」。 直近の試合しか考えない――。ニュアンスは同じでも、言葉に込められた思い、言葉を発した状況は大きく異なっていた。 冒頭の15分間が公開された前日練習後に行われた公式会見。9日の午後7時25分に横浜国際総合競技場でキックオフを迎えるベネズエラ代表戦へ向けて、日本代表のハビエル・アギーレ監督は0対2で完敗した5日のウルグアイ代表戦から「いくつかの変更点がある」と明言した。「招集した選手を全員見たいので、先発を5人入れ替える。もちろん、途中からも交代出場させる」。 メディアに公開された7日の練習から判断すると、新たに先発する5人は下記のようになる。 DF坂井達弥(サガン鳥栖)→DF水本裕貴(サンフレッチェ広島) DF酒井宏樹(ハノーファー)→DF酒井高徳(シュツットガルト) MF田中順也(スポルティング)→MF柴崎岳(鹿島アントラーズ) FW皆川佑介(サンフレッチェ広島)→FW大迫勇也(ケルン) FW岡崎慎司(マインツ)→FW柿谷