欧州移籍の柿谷 アギーレジャパンのサイドアタッカーとして輝けるか
「奪ったあとになるべく早く前線にボールを預けて、そこで勝負することも必要だし、このチームの新しいやり方のひとつでもある。柿谷は動き出しがいいし、スピード面では相手DFよりも速いと思うので、しっかりとボールを出せればチャンスになるので見逃さないようにしたい」。 ウルグアイ戦で本来のセンターバックではなくアンカーに入り、ウルグアイ戦の前出のプレーで岡崎に縦パスを出した森重真人(FC東京)が静かな口調とともに勝機を見据えれば、左サイドでコンビを組むことになるDF長友佑都(インテル)はいつもの熱い口調で柿谷への後方支援を約束する。「(柿谷は)ボールを持てるし、ためも作れるし、パスも出せてシュートも打てる。なるべく守備の負担を減らしてあげて、攻撃に専念させてあげたいなと思います。コンビネーション的にも問題ないし、あとは彼の創造力に僕がついていけるかどうかですね(笑)」。 昨年オフにもセリエAのフィオレンティーナから移籍のオファーを受けながら、「セレッソのOBではなく、セレッソの一員としてワールドカップに出る」という夢を叶えるために残留した。一転して今夏のバーゼル移籍を決断した理由は、ブラジル大会までの過程で力不足を痛感させられたからに他ならない。 ワールドカップで中断するまでのJ1で、昨シーズンにランキング3位の21ゴールをマークした柿谷はわずか1ゴールしかあげられなかった。決してコンディションが悪かったわけではない。初めて臨むワールドカップという舞台が知らずのうちにプレッシャーとなり、あれこれと思い悩むうちに袋小路に入り込み、自滅に近い形で精彩を欠いてしまった。 代表にこそ選出されたものの、ブラジルの地ではともに途中出場で2試合、合計で25分あまりしかピッチに立てなかった。もちろん結果もインパクトも残せていない。ワールドカップの悔しさは、ワールドカップでしか晴らせない。28歳で迎える4年後のロシア大会の舞台に立つために。自身を取り巻く環境を変え、甘えを断ち切らなければならないと決断した。