欧州移籍の柿谷 アギーレジャパンのサイドアタッカーとして輝けるか
フォーメーションは「4‐3‐3」で変わらない。つまり、柿谷はザックジャパンで慣れ親しんだワントップではなく、ウルグアイ戦で岡崎が務めた左ウイングに入る。新天地バーゼルでも任されている新たなポジションで、アギーレジャパンにおける初先発を果たすことが濃厚となった。 もっとも、大勢のメディアを前にした柿谷本人は至って冷静だった。「ポジションはどこでもやることは一緒なので、特にポジションにとらわれることなくやれればいいと思います。監督の戦術というものもあると思いますけど、監督自身が『ピッチでプレーするのは選手たち』と言っている。いろいろなアイデアというものを、ピッチの中にいる選手たち同士で出せればいいと思う。何よりも結果にこだわってプレーしたい」。 ウルグアイ戦では途中出場でピッチに入る後半31分までに、不慣れな「4‐3‐3」に戸惑い、特に相手ゴールへ向かう形をまったく作れなかった攻撃陣へ違和感と閉塞感を覚えていた。「得点が入らなかったから勝てなかったのは事実。ゴールシーンをたくさん増やせるように、攻撃の選手がいい連携でゴール前に迫れればいい。もちろん反省点はいろいろあると思いますけど、自分的には反省するよりも、もっとチャレンジしたほうがいいと思っている。現段階ではすべてのポジションの選手に高い要求をしていると思うけど、まだまだ伝えきれていない部分もあると思う。自分たちも監督の意図というものを理解しながら、練習よりも試合でいいプレーというものを出せればいい」。 ウルグアイ戦では初めて経験する「4‐3‐3」という形を意識するあまりに、アギーレ監督が真っ先に掲げた「走る」という大原則を実践できなかった。スペースに飛び出した選手がボールを受けて、チャンスを作りかけたのは、後半20分に岡崎が左サイドに流れたシーンくらいだった。 逆にバックパスが目立ったウルグアイ戦の反省に立ったアギーレ監督は、ベネズエラ戦ではロングパスからのカウンターを攻撃に盛り込むことを指示している。独特のタイミングで相手の最終ラインの裏へ抜け出し、巧みなトラップや多彩なテクニックを駆使してフィニッシュに持ち込むパターンを武器とする柿谷の先発起用は、ウルグアイ戦で可能性を示した「堅守」に「速攻」が加わることを意味する。