セミナー講師は多くのことを伝えようとしてはいけない(滝川徹 時短コンサルタント)
■「1スライド・1メッセージ」を心がける
では本来一つのスライドにどれくらいの文量を盛り込むべきなのか。一言で言えば、スライドを見てパッと内容がわかる量であるべきです。 皆さんはTED(Talks)で誰かがプレゼンをしているのを見たことがありますか? TEDは世界中のおもしろい人たちが招かれてアイデアや経験をシェアする国際的なプラットフォームです。 Googleなどで「TED」と検索すれば出てきますが、無料でたくさんのおもしろいプレゼンが見られます。ぜひTEDのプレゼンをいくつか見てみてください。文字がビッシリ書かれたスライドなんてでてきません。 ほとんどの人物のスライドは画像とほんの少しの文字だけ。スライドを使わない人も珍しくありません。話だけで伝えたいことを伝えられる。それがセミナー講師のあるべき姿なのです。
■多くのことを伝えようとしない
セミナーで話をする内容を考える時に私が意識してるのは、多くのことを受講者に伝えようとしないということです。なぜこれが大事なのか。それは情報量が多すぎると、受講者側が消化不良を起こしてしまうからです。 皆さん自身、セミナーや勉強会に参加して「今日の勉強会、いろんな話が出たけどイマイチよくわからなかったな」と感じた経験はありませんか? 講師としてはやっぱり、お金を払ってきてくれている受講者にできるだけたくさんお返しをしたい。できるだけ多くのことを持ち帰ってほしい。そう思うわけです。それで「あれもこれも」と伝えたくなってしまうんですね。 しかし問題は、どんなにいい話をしても、メッセージがシンプルじゃなかったり情報量が多すぎると、受講者はその話を消化できないんですね。そうすると、なんだかよくわからなかったなっていう感じで、受講者はセミナー終了後、モヤモヤした気持ちを抱えてしまうわけです。 一方で、たとえちょっとしたことであっても、自分の考え方が変わったり、視点が変わったりするような気づきを与えることができれば、実はそれだけで受講者は満足します。 このことは本を読む時のことを考えるとわかりやすいかもしれません。私の場合、本を読んで役に立ったなぁと感じる時は「そうか! こうすればいいんだ」とシンプルかつ新しいアイデアや視点が手に入った時です。 セミナーも同じように、受講者に少しでも新しいアイデアや視点が提供できたら成功だと言えるでしょう。