野外に集まったロシア訓練兵にまたロケット弾攻撃 改善されない指導力問題
過去の失敗になかなか学べないロシア軍
反攻に先立ち、ウクライナ軍の砲兵部隊はチョルノバイウカのロシア軍の複数の指揮所を8カ月で計22回攻撃していた。米陸軍将校3人はミリタリー・レビュー誌に2023年に発表した論文で、これらの攻撃はロシア軍の「連携した作戦の立案・遂行能力を著しく低下させた」と評価している。 著者らは「チョルノバイウカなどでのロシア軍の経験は、ロシア軍がプロフェッショナリズムや訓練、通信・連絡面の課題を克服できていないという点から説明できるとの見方もある」とも言及している。 ロシア軍の訓練兵らが繰り返し攻撃を受けていることは、ロシア軍にこうした課題が根強く残っていることを示す。ロシア軍は過去の失敗に学べていないのだ。 しかも、ウクライナ軍はロシア軍の指揮官や幕僚に対する攻撃も強化している。米国、英国、フランスがそれぞれ自国製の弾薬によるロシア領内への攻撃を認めてから数日もたたないうちに、ウクライナ空軍はロシア西部クルスク州にある指揮所を10発もの英国製ストームシャドー巡航ミサイルで攻撃した。 この攻撃でロシア軍の将軍1人が死亡し、ロシア軍に援軍を送っている北朝鮮軍の将軍1人が負傷した可能性がある。現場の上級指揮官らと彼らの集合的な経験が排除されれば、もともと劣悪な指揮環境がますます悪化するのは言うまでもない。 向こう数カ月でロシア軍に救いになるものがあるとすれば、来年1月のドナルド・トランプ次期米大統領の就任だろう。トランプはかつてロシアに欧州でロシアの「やりたいように」させると脅し、ウクライナへの米国の援助を縮小ないし打ち切る可能性もちらつかせている。HIMARSの発射機とその致死的なロケット弾は、米国からのこれまでの援助に含まれていたものだ。
David Axe