野外に集まったロシア訓練兵にまたロケット弾攻撃 改善されない指導力問題
ウクライナのロシア軍占領地域にいるロシア軍部隊がまたしても、ウクライナ軍の保有する最高峰のロケット弾の射程圏内に入る場所で野外に集まり、その攻撃を受けて多数の死傷者を出した。この9カ月で8回目だ。 【画像】ウクライナの占領地域で、野外に集まり攻撃を受けるロシア訓練兵 ロシア軍の指揮官が、2年9カ月たつ全面戦争の前線近くで相変わらず白昼堂々と訓練をさせていることは、ロシア軍内でリーダーシップに絡む問題がはびこっていることを物語る。ウクライナ軍がロシア軍の訓練中の兵士に加え、指揮官やその幕僚に対する攻撃も強化するなか、この問題は今後さらに悪化しそうだ。 ウクライナ南部ザポリージャ州のロシア側支配地域のどこかで21日かその少し前、民生用のバンからロシア兵十数人が降りてきた。ウクライナ軍のドローン(無人機)は上空からその様子を静かに監視していた。ほどなくして、ウクライナ側の前線から92km以内に展開していたウクライナ軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS)から、M30またはM31ロケット弾1発が発射された。 ロケット弾は訓練兵らのすぐ近くに着弾し、殺傷性の金属片を彼らや車両に浴びせた。ドローンの映像によれば、訓練兵少なくとも5人が死亡するか重傷を負ったもようだ。 攻撃はロシア側にとってもっと悲惨なものになっていた可能性もあった。数日前、やはりザポリージャ州で野外に集まったロシア兵らを狙ったHIMARSによる攻撃では、最初の攻撃に続いて生存者や救助者らを再度攻撃する「ダブルタップ」攻撃が行われていた。死者は数十人にのぼった可能性がある。今回は1発だけの攻撃だったようだ。 とはいえ、ロシア軍の指揮官が訓練兵らをウクライナ軍のロケット弾にさらし続けているために、こうした攻撃による累計の死者はぞっとするほどの数に達している。ウクライナ軍の砲兵部隊は今年2月以来、ザポリージャ州と東部ドネツク州での計8回の攻撃で、ロシア兵を数百人殺害したとみられる。 訓練兵らを狙った一連の攻撃は、ウクライナ軍がかつて南部ヘルソン市郊外のチョルノバイウカで、ロシア軍の指揮官や幕僚を狙って行った攻撃作戦を思い起こさせる。ヘルソン市は全面侵攻の初期にロシア軍に占領され、その後2022年秋にウクライナ軍による迅速な反攻で解放された。