時間外140時間超を5カ月、刑事の自死で賠償 熊本県警が控訴断念
熊本県警玉名署の刑事だった渡辺崇寿(たかとし)さん(当時24)が自殺したのは長時間労働によるものだったとして被告の熊本県に6180万円の損害賠償を命じた訴訟で、県警は18日、控訴を断念するとともに、宮内彰久本部長が遺族に謝罪する談話を発表した。 【写真】渡辺崇寿さん=遺族提供 原告は母親の美智代さん(64)、兄の真道さん(33)、妹の珠美さん(29)の3人。崇寿さんが亡くなって5年近く経った2022年5月に提訴。今月4日の熊本地裁判決は、亡くなるまで5カ月連続で時間外勤務が月140時間を超えており、「刑事課での業務で精神障害を発症し自殺に至った」と認定した。 県警は控訴すべきか検討してきたが、(1)自殺の原因が長時間勤務にあったこと、(2)(長時間勤務を招いた)当時の勤務環境は整備が不十分だったことは、県警としても認めざるを得ないと判断した。ただし、自殺を招いたのは「組織の問題で個人の問題ではない」として、当時の玉名署の幹部の責任を問うことはしないという。
朝日新聞社