今季5度のハットトリックで16試合・26得点。怪物級スコアラー・山桐正護は、なぜそんなにゴールを奪えるのか?|フットサル
浜松生まれ、フットサル育ち
その驚くべき得点能力は、幼少期から培われた“フットサルIQ”の高さにある。 浜松生まれの山桐にとって、フットサルはサッカーよりも身近なスポーツだった。 物心ついた頃から、日系ブラジル人選手と日本人選手が凌ぎを削り合う民間のリーグ戦「リーガ天竜」を毎週のように観戦し、「自分もあんなプレーがしてみたい」と、気づけば夢中になっていたという。 「3歳から中学生までは、一応サッカーと両立していました。でも、あくまでフットサルで活躍する選手になるために、フィジカルを強化しようと思ってやっていた側面が強かったです。結局、やっぱり自分は身体の強さで勝負する選手じゃないなと思って、高校生になったタイミングでフットサル一本に絞りました」 ただ、フットサルも盛んな地域とはいえ圧倒的にサッカープレーヤーが多く、所属していたチームは所属人数も少なく、練習も週2回の活動に留まった。 限られた戦力のなか「やるしかない」と、徐々にスコアラーとしての意識が育まれていった。
プレッシャーを楽しみ、自分らしさを生かす
今でこそ“不動のエース”という印象が強い山桐だが、2ケタ得点を取れるようになったのは、昨シーズンまで浜松を率いた高橋優介監督(現シュライカー大阪監督)の影響が大きいと、山桐は振り返る。 「もともと得点を取るのは好きだったんですが、やっぱり“ピヴォ”とはこういう選手だという意識や動きが染み付いたのは、ゲンさん(高橋監督の愛称)のおかげです。それまでは、チームメートに『ボールをくれ』と要求することができていませんでした。でも、それじゃあダメなんだ、と。自分はこういう局面でどういう動きをすることが多いのか、どういうプレーをするのが得意なのかをきちんと伝えるようになってから、より“自分らしさ”を生かして、ゴールを取れるようになってきています」 『パスを出してほしい』と求めるからには、しっかりと決め切らなければいけない。はじめはそのプレッシャーに負けそうになったこともあったが、今はその緊張感も楽しみながらのびのびとプレーできているという。 「最近は、ファーストシュートの感覚で『今日はいけるぞ』というのがわかるようになってきました。不思議なことに、そういう日はだいたい運も良くて、自分の前にルーズボールが転がってくることも多いんですよね(笑)。『これ、決めろってことかな?』って。面白いですよね」
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