ヘタフェ移籍の久保建英が語った”揺れる東京五輪”への思い…「今の状況で出たいと言うつもりはない」
内定を得ても考え方に変わりはなく、先に放送されたNHKの番組内でこう言及している。 「アスリートとしては賛成ですけど、一国民としては反対という気持ちです。命というものは正直、オリンピックよりも大事なものだと思っているので」 新谷のように断言こそしないものの、久保も一人の人間であることを優先させたい思いを明かした。もっとも、アスリートとしての自分もまた脳裏に描かれているのだろう。ヘタフェの公式インタビューのなかで、東京五輪へ向けて「たられば、ですけれども」と前置きした上でこんな言葉を紡いでいる。 「もし開催できるとなったときのために100%の力で準備しておく、というのはどのスポーツも関係なく必要なことであり、自分たち選手としての義務だと思っています」 延期とともに年齢制限が24歳以下に引き上げられた東京五輪の男子サッカー代表候補は、コロナ禍に見舞われた昨年は1月にAFC U-23選手権に出場して3試合を戦った以降の活動はゼロ。年末に千葉市内の高円宮記念JFA夢フィールドで短期キャンプが実施されたが、当然ながら久保を含めたヨーロッパ組は招集されていない。 久保の最後のU-23代表活動はU-22コロンビア代表に0-2で完敗を喫した、2019年11月の国際親善試合にまでさかのぼる。それまでは年齢制限のないフル代表に招集され、カタールワールドカップ出場をかけたアジア2次予選にも出場していた久保は、東京五輪世代の一員としてこんな言葉を残している。 「五輪に関しては(代表の)枠が少ないなかで争っていくものだと思っていますし、枠のなかに入りたいという気持ちが変わったことはありません。東京五輪だから、ではなく、出場するからには優勝するしかない。同年代の選手たちには負けられないと、自分たちにプレッシャーをかけていきたい」 もっとも現状では、U-24日本代表が3月末に東京スタジアム、そして北九州スタジアムで臨む予定の国際親善試合も開催が微妙と言わざるをえない。終息する光景を思い描けない状況下で、久保が言及した「100%の力で準備」をするには、所属クラブでの日々に集中するのが唯一の道となる。