「究極の接客業」「クレーム耐性」「若い女性の離職率」 人手不足が深刻なキャディー採用の実態とは?
学歴や職歴よりも、人柄重視で採用活動
キャディーの帯同なしでラウンドをするセルフプレーが浸透していますが、キャディー付きのプランもシニア層を中心に人気があります。 【図解】これが接待で役立つ「ゴルフカートの上座・下座」「行き帰りのクルマの上座・下座」です 女性のキャディーが多い印象ですが、ゴルフ場側は採用する際に、どのような人を選んでいるのでしょうか。
キャディーの採用について、ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。 「職業柄、お客さんと長時間にわたって良い関係を維持しなければならないため、ある意味“究極の接客業”ともいえる仕事です。キャディー募集の面接時には『なぜキャディーになりたいのか』という質問に対して、どれだけの思いを伝えられるかが重要になります」 「キャディーはプレーヤーがアドバイスを仰げる唯一の存在なので、アドバイスを聞いたにもかかわらずミスショットをしてしまった場合、キャディーに責任をなすりつけるような人、下ネタをはさみながらトークをする人も、少数ながら今でもいます。もちろん、ハラスメントまがいの行為は根絶しなければいけませんが、そうした環境への耐性も面接官は見ていることが多いです」 キャディーは長年深刻な人材不足が問題視されていて、人手が欲しいと考えているゴルフ場も多いです。そのため、学歴や職歴よりも、人柄重視で採用活動が進められているそうです。 採用された場合、3カ月程度の研修を受けて接客の基本とともにゴルフのルールやマナーを学んでいきます。 さらに、先輩キャディーとともに実際のラウンドに同行して経験を積み、研修の最後に行われる検定に合格してようやく独り立ちできるという流れがほとんどだといいます。
養育費を確保したい人の応募が増えている
ほかにも「高齢化が進んでいる」という印象を持っている人もいるかもしれませんが、実際の採用状況はどうなのでしょうか。 「ゴルフ場としては、これから戦力になってくれるような若い女性を採用したいのが本音です。ただし、10代や20代にとっては大抵のお客様が自分よりも年上の人になるので、ジェネレーションギャップやプレッシャーを強く感じるなどして相性が合わず、2~3年で辞めてしまうことも多くあります」 「ですが一般的なパートやアルバイトよりも収入が高いことから、まだ子供が小さい人やシングルマザーといった養育費を確保したい人の応募が増えています」 「従って、キャディーの平均年齢はどうしても上がりがちですが、悪いことばかりではありません。例えば、同じコースで長年働いていると各ホールの特徴を無意識で覚えるので、プレーヤーにはさまざまなアドバイスができるようになります」 「さらに、お客さんの性格やプレースタイルも感覚で分かってくるようになり、それぞれに合わせた接し方によって信頼度も高まっていくでしょう」 キャディーの仕事は、お客さんへのアドバイスから身の回りのサポートまで多岐に広がっています。誰もができるような簡単な仕事ではない一方、多くの人との触れ合いを通じて自分自身も成長できるところが、最大の魅力かもしれません。
ピーコックブルー