日銀・黒田総裁会合後の会見4月27日(全文1)出口戦略「やはり時期尚早」
「国債の買い入れペースが年間80兆円」は現状に即した数字にしていくのか
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いします。国債の買い入れペースが年間80兆円をめどという文言が、今回も残っていますけれども、買い入れ額のペースは足元で見てみますと、減っていたり、それから振れ幅が大きくなっている状況だと思います。それでも、この80兆円という文言を残すのかどうか。それとも、現状に即した数字にしていく、そういうことを視野に入れていらっしゃるでしょうか。 もう1つ、自民党の行政改革推進本部で、日銀は今のうちから出口戦略についての考えを語って、市場との対話をすべきではないかという、そういう意見が出されました。日銀内で、出口戦略についてのシミュレーションは行われているということですので、それを早い段階から公表していくというお考えはおありでしょうか。 そしてもう1点です。物価目標2%を達成するために、今の金融政策を続けていくと、出口の段階で、日銀が債務超過に陥るという指摘がありますけれども、それについて総裁はどう考えていらっしゃるんでしょうか。お願いいたします。 黒田:まず80兆円のめどということについてでありますけれども、ご案内のとおり、昨年の9月に現在の、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みを決めた際にも申し上げましたが、実際の国債買い入れ額は、金融市場の状況に応じてある程度幅をもって変動するということになるわけでありまして。実際にも、昨年9月以降の毎月の買い入れ額を見ますと、計算上の年間買い入れペースは、80兆円を上回ったり、下回ったりしているわけであります。金融市場調節方針の具体的な内容は、もちろん毎回の金融政策決定会合で議論いたしますけれども、国債買い入れについて、年間約80兆円をめどとしつつ、0%程度という長期金利の操作目標を実現するという点で、問題が生じているというふうには考えておりません。 それから出口戦略の点につきましては、毎回、申し上げておりますとおり、2%へ向けて物価が上昇していくというふうにみておりますけれども、足元、0%程度の物価上昇率にとどまっているわけでありまして、今から出口戦略について具体的にお話しするのは、かえってマーケットに混乱を招く恐れがあるというふうに思っております。 と申しますのは、具体的な出口の戦略というのは、その時の経済、物価、さらにはその金融情勢いかんによって、どのような出口戦略が適当かっていうことが決まってくるわけでありまして、量的・質的金融緩和を導入して以来、4年になるわけですけれども、こういった出口戦略というふうに考えるときには、やはり当然のことながら、短期金利の水準をどうするかということと、拡大したバランスシートをどのように取り扱うかという、2つの点が当然、問題、議論になることはなると思いますけれども、それらについて、どのような、具体的な戦略で進めていったらいいかっていうのは、あくまでもその時の経済、物価、金融情勢いかんによるわけですので、今から具体的なイメージを持ってお話しするのは、やはり時期尚早であろうというふうに思っております。 従いまして、3点目のご質問についても同様でありまして、当然、常に必要な市場とのコミュニケーションというのは図ってまいりますし、出口につきましても、先ほど申し上げたように、出口に差し掛かったときに、当然、これは米国もそういう形で説明しておりますし、われわれも、当然そういう段階になれば、適切なコミュニケーションを取るということになろうと思います。