日銀・黒田総裁会合後の会見4月27日(全文1)出口戦略「やはり時期尚早」
物価見通しについて
幹事社:それでは2問目は物価見通しについてです。今回、初めてお示しになりました2019年度の物価見通しは消費税の影響をのぞくと1.9%。17年度については下方修正をしています。一方で2%の物価目標達成時期については18年度ごろとこれまでの見通しを維持されてるかと思います。物価目標達成に向けた道筋について特に、その達成時期への考え方を含めて詳しくご説明ください。 黒田:はい。前回の展望レポートのあとの消費者物価の動きを見ますと、このところ携帯電話機など一部の耐久消費財やサービス価格が弱めの動きとなっています。もっとも2%に向けたモメンタムは維持されていると考えています。すなわちマクロ的な需給ギャップは改善しており、昨年末にプラスに転化しております。特に労働需給の引き締まりが一段と明確になる下で、多くの企業で4年連続のベースアップが実現する見通しにあるなど、賃金は緩やかに上昇しております。先行きも需給ギャップがプラス幅を改善、拡大していく下で、賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まっていくという好循環が作用していくとみております。 中長期的な予想物価上昇率は弱含みの局面が続いておりますが、先行きは現実の物価上昇率が高まっていく下でいわゆる適合的な期待形成の面からも上昇傾向をたどっていくと予想されます。こうした下で先行き、消費者物価の前年比は2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。2%程度に達する時期は見通し期間の中盤である2018年度ころになる可能性が高いと考えられています。また、その後は2%程度で安定的に推移していくものと見込んでおります。 幹事社:次です。展望レポートでは経済見通しの下振れリスクとして、地政学リスクを挙げています。足元では、北朝鮮情勢が緊迫が続いていますが、こちらの世界経済および、日本経済、それから物価や金融市場への影響について、どうご覧になってますでしょうか。 黒田:確かにご指摘のように、展望レポートではリスク要因の1つとして地政学的リスクを指摘しております。地政学的リスクが金融市場や世界経済、ひいてはわが国の経済、物価に与える影響については、今後とも十分注視してまいる所存であります。 なお、具体的に北朝鮮情勢そのものについては、コメントを差し控えたいと思います。 幹事社:各社さんどうぞ。