日銀・黒田総裁会合後の会見4月27日(全文1)出口戦略「やはり時期尚早」
日銀の金融決定会合を受け、黒田東彦総裁が27日午後3時半から記者会見を開いた。 報道によると、2017年度の物価上昇率見通しの下方修正が議論され、経済・物価情勢の展望(展望リポート)に盛り込まれる見込み。 【中継録画】日銀・黒田総裁が会見 物価上昇率見通しは?
本日の金融政策決定会合結果について
黒田:約80兆円をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営することとします。また長期国債以外の資産買い入れに関しては、これまでの買い入れ方針を継続することを賛成多数で決定しました。本日は展望レポートを決定、公表しましたので、これに沿って先行きの経済物価見通しと金融政策運営の基本的な考え方について説明いたします。 わが国の景気の現状については緩やかな拡大に転じつつあると判断しました。この点、やや詳しく申し上げますと、海外経済は新興国の一部に弱さが残るものの、緩やかな成長が続いています。そうした下で輸出は増加基調にあります。国内需要の面では設備投資は企業収益や業況感が業種の広がりを伴いつつ改善する中で緩やかな増加基調にあります。個人消費は雇用、所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移しています。この間、住宅投資と公共投資は横ばい圏内の動きとなっています。 以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けています。また金融環境については、極めて緩和した状態にあります。このように輸出生産を起点とする前向きの循環強まる中で労働需給は着実に引き締まり、経済活動の水準を示す、を表す需給ギャップのプラス基調が定着しつつあります。こうした状況を踏まえ、今回、景気の総括判断を一歩前進させることとしました。 先行きについては、わが国経済は海外経済の成長率が緩やかに高まる下で、極めて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、2018年度までの期間を中心に景気の拡大が続き、潜在成長率を上回る成長を維持するとみられます。2019年度は設備投資の循環的な原則に加え、消費税率引き上げの影響もあって、成長ベースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれます。2018年度までの成長率の見通しを従来の見通しと比べますと、おおむね不変です。 次に物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は0%程度となっています。予想物価上昇率は弱含みの局面が続いています。先行きについては消費者物価の前年比はマクロ的な需給ギャップの改善や、中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景にプラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。2018年度までの物価見通しを従来の見通しと比べますと、おおむね不変です。なお2%程度に達する時期は見通し期間の中盤である2018年度ころになる可能性が高いと考えられます。その後は2%程度で安定的に推移していくものと見込まれます。 リスクバランスについては経済、物価ともに下振れリスクのほうが大きいとみています。2%物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠け、引き続き注意深く点検していく必要があります。なお、展望レポートについては佐藤委員、木内委員から消費者物価が見通し期間中には2%程度に達しないことを前提とする記述案が提出され、否決されました。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。また生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続します。今後とも、経済、物価、金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行います。