生活保護はホームレスを幸せにするか、それを望んでいるのか...福祉国家・日本の現実
刑務所を出た人を支援する施設もある
施設関連の仕事をしている知人の話によると、刑期が満了して釈放された人が何人か、適切な仕事が見つからなかったために荒川河川敷一帯に足を踏み入れ、ホームレスの生活を始めたという。 彼らは長い刑務所生活を経てやっと自由を取り戻したが、家族との関係が切れている人もおり、頼れる人がおらず、孤独で、受け入れられる場所を見つけるのは難しい。 政府も彼らの状況をよく知っている。そのため、彼らを自立させて、できるだけ早く社会に溶け込むよう促すため、更生保護・自立支援のための施設に住まわせ、仕事(建設現場の力仕事など)を探すのにも協力する。 つまり、食事や住まいを提供し、仕事探しも支援しているわけだ。私からすれば、出所後にこのような待遇を受けられるのはよいことに思える。 しかし、物事はそんなに簡単ではない。長年鉄格子に閉じ込められてきた人にとって、自由の獲得はいかに難しいか。もし彼らが政府の統制下で集団生活をするならば、刑務所での生活と何が違うのだろうか。 だから、刑務所を出た人たちの中に、政府が提供する施設を放棄して放浪の道に進む人がいるのかもしれない。一方、刑務満了者は生活保護を申請することもできる。
集団生活ではない「独身アパート」もあるが...
生活保護を申請し、福祉施設に入ったホームレスは、そこで何カ月か生活した後、アパートに移れる場合がある(あるいは支援団体の助けで、アパートに入居する場合もある)。ここでは集団生活ではなく、「独身アパート」などと呼ばれている。 「独身アパート」に入居できれば、施設より行動も比較的自由だ。定期的に支援者が訪れ、病気になった場合はすぐに治療を受けることもできる。 しかし、この待遇は大抵、年配者にしか与えられていないようだ。若いホームレスたちは、真面目に働いて自分で生計を立てなければならない。政府は基本的に、労働力があっても働かない人には支援をしない。 私が調べたところ、一般的に独身アパートへの入居申請の手続きは、煩雑で、しかも厳しい基準があるようだ。職歴、カルテ、居住履歴などを含む多くの証明書を提供するほか、一人暮らしの能力があるかどうかの審査を受けなければならない。 1つは健康管理。つまり、栄養バランスを考えて食事を取れるか、生活は規則的か、病気の時に自分で生活できるか。もう1つはお金の管理だ。つまり、自分のお金をきちんと管理できるか。 ほかに、ガスストーブなどを正しく使用できるかという安全管理、料理や掃除、洗濯、入浴を自分でできるかという自己管理もある。他の人とコミュニケーションを取れるか、迷惑をかけないようにできるかどうかなども確認されるという。 どうしてこんなに条件が多いのかと疑問に思う人もいるかもしれない。だが確かに、よく考えてみれば、これらの条件を満たせなければ厄介なトラブルが発生するかもしれないのだ。