「食事の戦略」は人間関係を広げる“最高の武器”だ 「交友関係」こそ人生を豊かにする“最高の財産”
隣の人だけではなく、斜め前の人などみんなと話せて和やかに食事ができます。議論に使う場合、参加者全員の顔が見られるため、話し合いが活発になります。 また大皿料理から小皿に取り分けて食べるので、自分のペースで食べることができます。(148ページより) ■「会食の難易度が高い店」とは? このように和洋中にもそれぞれメリットやデメリットがあるわけだが、料理のジャンルはどうであれ「会食の難易度が高い店」もあると著者は指摘している。焼き肉、鍋、寿司、天ぷらなどだ。
たしかに焼き肉や鍋は初対面の人、あまり親しくない人と利用することには抵抗があるかもしれない。また寿司と天ぷらは、つくりたて、揚げたてをすぐに食べることが肝心でもある。 出されたものに手を付けずにゆっくりしゃべっていたら一番おいしいところを逃してしまうし、大将、職人にも申し訳ないです。そういう意味でこれらの店には「会話がメイン」というより「食べることをメイン」として行くのがいいように思います。 というより、以上に挙げた店はすべて「話をメインにする会食」としては少々難易度が高いというだけで、その料理を目的として食べに行ったり、親しい人と合意のうえで食べに行ったりするのはまったく問題ありません。(149ページより)
つまり前述のとおり、「目的」がどんなものであるかを意識することが大切なのだろう。 もしかしたら最初は、「いちいち考えるのが面倒」だと思われるかもしれない。だが慣れてしまえば、「目的に応じた店選び」もまた楽しみのひとつになるはず。 参加者のタイプや好みをイメージしながら適切な店を選ぶところから、「食事の戦略」が始まるともいえそうだ。
印南 敦史 :作家、書評家