政治劣化の今こそ石橋湛山に学ぶべき:拡大する超党派100人の国会議員連盟
斉藤 勝久
政治とカネの問題で混迷する国会で、日本の針路を考える超党派の議員連盟が注目されている。設立半年で会員が約100人と倍増した「石橋湛山研究会」である。没後50年の湛山は高い視座で日本を見つめ、戦前は植民地放棄や戦争反対を訴え、戦後は対米一辺倒でない自主外交や、政界の綱紀粛正、派閥解消を主張した首相だ。「今こそ湛山に学び、国の舵(かじ)取りのヒントを得る」と話す同会幹事長の古川禎久元法相に、政治の信頼回復の課題を含め聞いた。
今日の政治を憂える発言相次ぐ勉強会
自民、立民、維新、公明、国民など党派を超える議員が参加する湛山研究会は、昨年6月に結成された。共同代表は自民の岩屋毅・元防衛相のほか、立民、国民の計3人が就き、幹事長に古川氏、事務局長は立民から選ばれた。国会開会期に、湛山に詳しい講師らを招いて勉強会を開いている。初回の参加者は44人だったが、その後、特に勧誘活動はしていないのに会員は倍以上に増え続けている。 第4回勉強会が2月21日、衆議院議員会館で約50人が参加して開かれた。講師の政治評論家で多摩大学学長の寺島実郎氏が「石橋湛山への視座」と題して講演し、「この議連の持つ意味は大変重要です」と締めくくった。参加議員の意見交換では、立民の逢坂誠二氏、自民の稲田朋美氏らから今日の政治の劣化を憂える発言が相次いだ。
日本の舵取りを考える
古川氏は会結成の経緯をこう話す。 「米中対立に挟まれた日本が、どうやって生き延びるか?この数年というもの、この大問題が頭から去らない。何かのヒントを探して石橋湛山評論集を引っぱり出して読み直すうちに、今の日本に、湛山スケールの構想力や胆力が必要だと思い至った。見渡すと、湛山に共鳴する国会議員が意外と多いことにも気付いた。立憲民主党がすでに石橋湛山議連を立ち上げていたが、『国の舵取りの話だから一緒にやりませんか』と話すと、立民さんが快く『一緒にやろう』と先の議連を発展的解消してくださった。それで超党派議連が誕生した」 「こうして超党派石橋湛山研究会が発足した後、いわゆる裏金問題が発覚。今や政治が国民の信頼を失っている。戦前はここで軍部が台頭したが、現代においても破滅的ポピュリズムが出てくる恐れは否定できない。政党政治そのものの危機だ。湛山は自民党総裁、首相として1957年に派閥解消、政界の綱紀粛正を訴えた。政党政治を立て直すうえで湛山に学ぶことは多いはずだ」