政治劣化の今こそ石橋湛山に学ぶべき:拡大する超党派100人の国会議員連盟
対米従属を否定
「戦前には日本が領土拡大をめざす『大日本主義』をとっていた時に、湛山は外地の植民地を手放せと、命懸けで主張した。戦後は総理大臣になると、アメリカの言うことをなんでもハイハイと聞くようなことは、日米両国のためには良くないからしない、と堂々と言ってのけた。病気による早期退陣で湛山路線は挫折したが、湛山の構想力と胆力には学ぶことが多い」 こう語る古川氏が、日本を取り巻く国際環境の中で最も心配しているのが台湾有事だ。 「米中対立に挟まれた日本がどうやって生き延びるか。『日米同盟で中国を封じ込める』なんていう単純な話ではない。勇ましいことを言う政治家もいるが、危うい。もし在日米軍基地から米軍が出撃したら、日本は自動的に戦争当事国になる。現代の戦争は、サイバー、電磁波、宇宙といった新領域の戦いだ。交通や通信、エネルギーなどの各種インフラが破壊され、食料や医療のサプライチェーンも寸断されうる。勝つことも、負けることもできぬまま、国を失うこともあり得るのだ」 「日本には『戦争回避』という選択肢しかない。米中対立に巻き込まれないことが第3国の国益だ。そのために外交に全力を挙げなければならない。中国に『覇権主義をやめて、国際協調でいくべきだ』と粘り強く説得できるか。安全保障をアメリカに委ねてきた日本が、自主外交を展開できるか。こうした日本の針路を考える時、時代を見据えた湛山の言説が道しるべになってくる」
湛山議連に集う議員が“台風の目”に
米国中心の秩序がしぼみつつあり、そして、自民党に対する国民の信頼失墜。内外の当たり前と思われていたことが今、次々と壊れている。 古川氏は言う。 「まずは自民党が自己改革をし、それを国民に見ていただく。それ以外に信頼を得る道はない。私は『全ての派閥は解散し、更地にして、新しい自民党を考えよう』と主張し、所属していた茂木派を退会した」 「55年体制の余韻を引きずったままでは、これからの時代の舵は取れない」 「政治資金の透明化・国会改革・選挙制度改革の3点セットの『令和の政治改革』が必要だ。現行の小選挙区比例代表並立制は、投票率の低さからみても民意を十分に反映できていない。選挙制度は民意を最大に反映したものであるべき。私は『中選挙区・連記制』(複数の候補に投票できる)を提唱している。民意を最大に反映した政権をつくり、その民意をエンジンにして政策を実行する。激動の時代には、機動的に、果敢に、日本丸の舵を取る政治が必要だ」 湛山はかつて自分の後継である岸首相の安保騒動期、自民党を脱党して、中道保守の新党結成を目指す動きを示したことがある。 古川氏は「湛山研究会が超党派議連として政局(政権闘争)の目的を持って行動することはない。だが、日本の現状を憂え、改めようと問題意識を持った国会議員が100人も集まってきている。湛山議連が、ということではなく、ここに集う議員一人一人が“台風の目”となっていくことはあり得ると思う」と語っている。