「タワマン地獄」よりもっと〈キツい場所〉がある…33歳「地方のウーバー配達員」が明かす「さらなる地獄」
先日の日経ビジネスの記事がきっかけだと思うが、「タワマン地獄にはまる配達員」が話題になっている。厳しいセキュリティやエレベーターの待ち時間など、タワマン配達には手間と時間がかかり過ぎるため、これが現場の配達員を苦しめているというわけだ。 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!残酷すぎる「格差の現実」 しかし、どうやら都心と地方では状況が大きく異なるようだ。タワマン配達の問題に「まったく共感できない」と私見を述べるのは、ウーバー配達員として勤続4年7ヶ月目を迎えた佐藤大輝さん(33歳)。佐藤さんはウーバー配達員として兵庫県で活動しており、これまでに計6000回以上の配達をこなした。ベテラン配達員である佐藤さんに、地方で働くウーバー配達員事情について話を聞かせてもらう。
タワマン配達は「むしろラッキー」
そもそもタワーマンションとは何階建てのマンションを指すのか。ここに法的な定義はないが、一般的には20階以上の高層マンションのことを「タワマン」と呼ぶようだ。この定義に従うなら、僕は神戸市や西宮市などのタワーマンションへ20回以上、ウーバー配達員として訪問している。そしてすべての配送において、タワマンは時間がかかるから勘弁してほしい……といった状況に陥ったことがない。 僕は都心で働いている配達員の方々に「大げさに騒ぎ過ぎなのでは?」と異議を申し立てたいわけでは決してない。ここまで話題になるということは、嘘でも誇張でもなく、本当にタワマンに苦しめられているのだろう。ワクワクしながらタワマンに配達している自分とはえらい違いだ。 ウーバー配達員は注文依頼があった際、アプリ画面上に配送先住所と地図が表示される。このタイミングで注文依頼を受けるか否か、判断する時間が10秒ほど与えられる。土地勘がある僕でさえ、この段階で「この配送先はタワマンだな」と確信を得ることは難しい。僕の場合、配送先のおおよその位置を把握して、特に問題なければ反射で注文依頼を受けている。僕が何を言いたいか。ウーバー配達員には「配送先ガチャ」の要素がある。お店で商品を受け取り、お客様のところへ到着して初めて、「おー、タワマンじゃん。テンションあがるぜ」といった展開になる。 なぜテンションが上がるのか。純粋に、景色が素晴らしいからだ。僕が配達してきたタワマンの多くは、エレベーターを降りたところに窓があり、眺望を楽しむことができた。もちろんモラルとマナーの問題があるため、景色を楽しむのは帰りのエレベーターが来るまでの時間だけにしているが……すぐにエレベーターが来るので、逆に困っている。