「タワマン地獄」よりもっと〈キツい場所〉がある…33歳「地方のウーバー配達員」が明かす「さらなる地獄」
地方配達員が拒否しがちな2つの配送先
タワマン配達にこそ苦しめられていないが、地方で稼働する僕が「この配送先には行きたくないな」と弱音を吐き、注文依頼を拒否しがちな配送先が2つある。 1つ目は、お客様の住所が海側。埋め立て地の人口島に位置している場合だ。全国的な知名度がある人工島としては「六甲アイランド」が有名だが、兵庫県には「◯◯浜」と呼ばれる人工島が多く存在している。市内中心部からの距離は2~3キロほど。よって距離的には大したことないのだが……往復で考えた時、どうしてもコスパが悪くなってしまう。 ウーバーの料理を提供している飲食店は、駅前や大通り沿いなどに位置している場合が多い。人工島の近くにはウーバー提供店の数が少なく、再び注文依頼を獲得するためには市内中心部に戻る必要がある(ウーバー配達員への注文依頼は、注文のあった店舗と配達員の距離が近いかどうかが関係していると言われている)。片道2~3キロを2セット移動するにも関わらず、もし仮に報酬が400円前後だとしたら……報酬を時給換算した場合、自転車配達員の僕は最低賃金を下回りかねない。 2つ目は、お客様の住所が山側。急な坂道の先にある場合だ。全国的な知名度としては高級住宅街の「六麓荘」が有名で、高台からの景色は素晴らしいの一言に尽きるのだが……エレベーターに乗ってタワマンの高層階に行くのと、アシストの付いてないママチャリで高台に行くのとではワケが違う。 僕は体力にかなりの自信がある。体型は細マッチョ。腹筋は6つに割れている。それでも神戸市と芦屋市の急斜面、あれは本当に無理だ。途中から自転車を押さざるえない。息はゼェゼェ。汗はダクダク。にも関わらず、報酬は400円前後。時間的な部分だけでなく、体力的な部分でも割に合わない。移動に時間を要するため、お客様にも迷惑がかかる。 海側の住人も山側の住人も、買い物をするには地理的に不便な部分があり、だからこそウーバーを使っているのだろう。この点は「ありがとうございます」でしかないのだが……「ごめんなさい」で配送依頼を拒否することが多々ある。 このような矛盾を生んでいる最大の原因は「労力と報酬のミスマッチ」で決まりだろう。しかしこの問題は難しい。配送先の地理はもちろん、天候や気温。配達員の体力や価値観によっても「ミスマッチの基準」が変わってくる。はてさて、問題解決のため何か良いアイディアはないだろうか……。 * * * 配送先ガチャで外れを引かないため四苦八苦している佐藤氏だが、地方特有あるいは全国共通で「配達員が困っていること」は他にもあるのだろうか……。後編〈「タワマン地獄」「ショッピングモール地獄」もあるけれど…33歳「地方のウーバー配達員」が明かす〈全配達員共通の悩み〉〉では引き続き佐藤氏に、「ウーバー配達員の切実な悩み」について話を聞かせてもらう。
佐藤 大輝(ライター)