考察『光る君へ』41話 敦明親王(阿佐辰美)に猛アプローチする妍子(倉沢杏菜)「邪魔なさらないで」の迫力!新しい時代の到来が迫っている
御簾を越える敦康親王
清少納言の怒りを受けてのことだろう。彰子が敦康親王に「いつでも遊びにきてください」と文を出し、親王が訪ねてきた。これまでのように御簾を上げてください。お顔が見えませぬと求める親王だが、彰子は答えない。 敦康親王は御簾を越えて、彰子のすぐ傍まで入ってしまう。 平安時代の高貴な女性は男性に顔を見せない。この作品ではドラマ上の演出として、第1話から貴婦人でも顔見せが普通だったので、この場面の衝撃が伝わりにくい。突然どうしたとは思うが、中宮の御在所の室礼は黒で統一され、御簾の縁が黒、房飾りも黒の喪の色だ。歌の会で女房と弟達の前でも中宮は御簾を上げなかったので、どちらかというとこの場面は敦康親王が喪中の礼に反して御簾の中に踏み込んだ、ということだろうか。 「ただお顔が見たかっただけでございます」と笑顔で言う親王に、驚きつつも微笑んだ彰子だったが、行成(渡辺大知)から報告を受けた道長は許さなかった。 行成「左大臣様は敦康親王様から何もかも奪いすぎでございます」 道長「お前は私に説教するのか」 ああ。もうかつての三郎、道長はいない。官位の上下はあっても、友人たちとは気の置けない会話をしていた頃の道長ではない。そんな道長に対しても「左大臣様がおかしくおわします」と毅然として反論する行成、えらいよ。ありがとう、君はずっと変わらないね。
ひとりで戦うのではなく
賢子と乙丸(矢部太郎)が辻を歩いていると、そこに現れたのは平為賢(たいらのためかた/神尾佑)! 馬をゆっくり歩ませているだけでもその勇猛さが伝わる。手に手に武器を携えた武者たちの中にいるのは、双寿丸。 「これから盗賊を捕まえにゆくんだ」 ああ、平氏による盗賊討伐は大河ドラマ『平清盛』(2012)第1話を思い出す。 新しい時代の到来が、すぐそばまで迫っているのを感じさせる場面だ。 「ひとりで戦うのではなく、みんなで戦うことを学ぶんだ」 双寿丸の語る武者たちの戦い方を、まひろはそのまま彰子に伝えた。大きな力を持つ者、道長に対抗するには道長の子らが力を合わせればよいのだと。漢籍を学び、一条帝の傍で君主としての心得を学んだ后・彰子なら政をよりよいものにできるはずだと、まひろは信じる。 そして、枇杷殿に移った彰子に代わって藤壺に入った三条帝の女御・姸子は敦明親王(阿佐辰美)に猛アプローチする。 「 す き ♡ 」 じゃないのよ。この親王、仮にもあなたの義理の息子にあたるのよ。そりゃ、同じく三条帝の女御で敦明親王の母・娍子も「そこまでっ!!!」と大喝するよ。素晴らしい声だったよ。息子じゃなくて姸子を制したのだ。それにも負けず「邪魔なさらないで」とは強いなあ。こちらもある意味、新しい時代到来の象徴のようだ。 娍子の弟・通任(古舘佑太郎)を参議にする代わりに、道長と明子の息子・顕信を蔵人頭に昇進させるという三条帝の交換条件を道長は断る。政治的駆け引きに乗らない道長だったが、それは明子にも顕信にも伝わらなかった。絶望した顕信の出家、明子の憤り。 三条帝の手腕にふりまわされる左大臣家、一体どうなる。 次週予告。 ノリノリの三条帝、次回もフリーダム姸子。道長倒れる! 弟が倒れて「喜んではおらぬ」と叫ぶ道綱、視聴者はわかってるから大丈夫です。変顔実資、そのお膝にいる子はもしかして!? 道長「お前は俺より先に死んではならん」ここで「雲隠」……その川辺は、ずっとふたりが戻りたかった場所! 42話も楽しみですね。 ******************* NHK大河ドラマ『光る君へ』 脚本:大石静 制作統括:内田ゆき、松園武大 演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう 出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、見上愛、塩野瑛久、岸谷五朗 他 プロデューサー:大越大士 音楽:冬野ユミ 語り:伊東敏恵アナウンサー *このレビューは、ドラマの設定(掲載時点の最新話まで)をもとに記述しています。 *******************
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