動機は不倫関係にある兄の妻にかけられた「呪い解くため」父親殺害の次男が証言 検察が指示役で兄の妻とみる「霊媒師JUN」に父親が呪いの集団の一味と教わる 宮城・柴田町会社員殺害事件 #5
裁判長: 「誰がJUNをやっていると思っているのか」 直哉被告: 「サトウジュンイチがJUNだと思っている」 裁判長: 「あなたの話では、敦子と隆一さんの命を天秤にかけることになってしまったということだが、これについて思うことは」 直哉被告: 「何様かなと思う。人には人の人生があるのに、どちらが生きてどちらが死ぬかを自分が決めるのは何様かと。私のエゴで父を殺した」 ■衝撃の被告人質問、JUNへの妄信動機とは… 被告人質問で直哉被告は、常人には理解できないような発言を連発した。 「幼いころから霊感があり、直接会ったこともない『霊媒師JUN』に心酔。指示を受けたわけではないものの、LINEでやり取りをする中で、隆一さん殺害を決意した」これが直哉被告の主張だ。 法廷での言葉を信じるなら、直哉被告に隆一さんへの恨みはなく、金目当ての犯行でもない。ただ、「敦子被告が呪いで死んでしまう」と考え、2人の命を天秤にかけた結果、隆一さんを殺害したというのだ。 普通の感覚であれば到底信じられない話だが、直哉被告の顔は真剣そのもの、語り口も淡々としていて真実を語っているようでもあった。その一方、敦子被告は終始直哉被告をじっと見つめ、信じられないものを見るような表情を浮かべていたのが印象的だった。 なお、この翌日は、直哉被告の精神鑑定を行った精神科医が出廷した。 鑑定の結果は、「思い込みが強く、認識に偏りはあるものの、明確に診断できる精神障害はない」というものだった。 ■複雑な裁判、「共謀の有無」はどうなる? 前述したとおり、この裁判の争点は「直哉被告と敦子被告の共謀の有無」だ。 検察側は、「敦子被告が『霊媒師JUN』になりすまし、実行犯である直哉被告に殺人の指示を出していた」と主張している。 しかし、今回の直哉被告への被告人質問を経て、「ある疑念」が生まれた。それは、「『霊媒師JUN』が直哉被告に直接殺害の指示を出していないのなら、たとえ敦子被告が『霊媒師JUN』だったとしても共謀は成立しないのではないか」というものだ。直哉被告は「霊媒師JUN」とのLINEを自分なりに解釈し、隆一さん殺害に至ったと話している。あくまで「自らの判断」で隆一さんを殺害したのなら、事件を敦子被告との共謀に結び付けるのは難しくなるのではないだろうか。
裁判は複雑怪奇を極めている。被告人や証人の主張はところどころで食い違い、絡み合う人間関係の中には架空の人物や誰も会ったことのない人物が登場し、話をさらにややこしくしている。 判決は11月25日に言い渡される。
東北放送
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