陸奥湾震源の地震、10分以内に津波到達か 識者「注意報待たず逃げて」
陸奥湾を震源とする最大震度4の地震が16、20日に相次いで発生した青森県。震源は陸奥湾東側と発表されており、専門家は津波を伴う地震が今後起きた場合、10分以内に津波が到達する可能性を指摘した。県は陸奥湾が震源の地震・津波の被害想定を公表しておらず、青森市のハザードマップにも表記はない。専門家は「まずは揺れから身を守り、津波注意報を待たずに高いところに逃げてほしい。10分で何ができるか家族と話し合うことが大事」と話す。 県防災ハンドブック「あおもりおまもり手帳」では青森県で起こりうる地震として(1)太平洋側海溝型地震(マグニチュード9.0)(2)日本海側海溝型地震(同7.9)(3)青森市付近の内陸直下型地震=入内断層モデル(同6.7)-の三つに関する被害想定を出している。また「この三つ以外にもどこでも地震は起こりうる」とも明記している。 県防災危機管理課の屋崎雪絵総括主幹は「津波は震源の場所と揺れの大きさなどにより発生するかどうかが違い、(陸奥湾を想定して)一概に言うのは難しい。大きな地震であれば起きる場所によって津波の可能性を考えなければならない」と述べた。 地震発生時に沿岸部や川の近くにいる人は特に注意が必要だといい「まずは揺れているときに頭を守ることが大事。揺れが収まったら、少しでも高いところに逃げてほしい」と呼びかけた。 青森中央学院大学経営法学部の中村智行准教授(地域防災)は「陸奥湾は地震がないと都市伝説のように言われるが、日本中が活断層だらけなので、どこで起きても不思議ではない」と指摘。県が公表している入内断層モデルの被害想定を参考にした場合、第1波は10分以内と想定し「平内、横浜、野辺地、むつ、青森などの沿岸に住んでいる人は(発生から)1週間程度、避難行動の準備をしてほしい」と話した。 注意報は地震発生から約2分後に出るといい「10分のうちの2分は大きい。今回体験した震度4より大きな揺れだと感じたら、揺れから身を守ったあとで警報・注意報を待たずに適切な避難行動を」と呼びかけた。 冬の夜中に発生した場合は特に逃げる時間が少なくなると指摘し「車で逃げざるを得ないと思う。どの方向に逃げるか、家族単位で考える機会にしてほしい」と語った。 陸奥湾を震源とする地震で震度4を観測するのは、気象庁のデータベースで記録が残る1919年以降初めて。