奈良県立民俗博物館、約4万5000点の資料をデジタル保存へ
収蔵品の整理や施設の老朽化を理由に長期休館となっている奈良県立民俗博物館。その約4万5000点もの民俗資料を3Dデジタル保存する方針であることを、奈良県の山下真知事が定例会見で発表した。 山下知事は、有識者による委員会を設置し、2025年度内には収集・保存のルールを策定する考えを示した。また、ミュージアムにおける収蔵庫不足は全国的な共通課題だと指摘したうえで、デジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に活用しながら「民俗資料の収集・保存の奈良モデル」を構築。保存・展示をしない資料については市町村や民間への譲渡を検討し、譲渡先が見つからない場合は廃棄する。このような一連の作業を、同館が再開を予定している27年度中に実施を目指すという。 同県では7月10日、奈良県立民俗博物館における収蔵品保管施設の問題について、同県知事による「明確なルールを決めたうえで、価値のあるものだけ残してそれ以外は廃棄処分することも含め検討せざるを得ない」といった発言が波紋を呼んでいた。これを受け18日には、日本民具学会によって「民具(有形民俗文化財)の廃棄問題に対する声明」も発表され、議論を呼んでいた。