あの騒動は結局どうなった? ジョニー・デップVSアンバー・ハード裁判のその後
まずジョニーは、〈ディオール〉のフレグランス“ソヴァージュ”の広告で、新たに3年間の契約を結んだ。その契約金は2000万ドルで、男性向けのフレグランスで最高額。そして5月のカンヌ国際映画祭では、久々の出演作『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』がお披露目された。しかも映画祭のオープニング上映という栄誉である。同作でジョニーは、フランスのルイ15世を演じ、しかも全編、フランス語のセリフにチャレンジ。俳優としての新境地も開いたことになる。本格的な映画出演は2020年の『MINAMATA –ミナマタ-』以来、3年ぶりとなった。また、1997年の『ブレイブ』以来、監督として長編映画2作目となる『Modi(原題)』を撮影。画家のモジリアニの人生を描いた作品で、現在はポストプロダクションに入っている。このように俳優・監督として無事にカムバックしたジョニー。アートの制作やバンド活動にも精力的で、とりあえず満たされた生活が戻ってきているようだ。
一方のアンバー・ハードは生活の起点をスペインに移した。ジョニーとの裁判に実質的に敗訴したことで、その支払いに関して保険会社からの訴訟も抱えることに。2022年の判決後に、彼女はテレビ番組で1時間の独占インタビューを行うも、世間の同情を集めることはできなかったのだ。俳優業に関しては、一連の裁判騒動の前に撮影していた主演作『In the Fire(原題)』がイタリアの映画祭で上映された。これはイタリアとアメリカの共同制作のインディペンデント映画で、その後、アメリカやイギリスなどでひっそりとネット配信された。 注目されたのは、DCのアクション大作『アクアマン/失われた王国』。2018年の1作目『アクアマン』で、アンバーはヒロインである王女メラの役に大抜擢された。ただこの時、キャスティングに関してジョニーがワーナー・ブラザースに強力なプッシュを行なったと言われている。その続編の撮影が終わって、2022年の裁判がアンバーの実質敗訴で終わると、ネット上などで「アンバーの出演シーンをカットしろ」という過激な発言もとび出した。当然、続編でもメラは重要キャラなので、公開ギリギリまでその登場シーンが話題になったが、完成作では“それなりに”活躍。クレジットも3番目にアンバーの名前が出てくる……というわけで、公開後も一部で炎上。そして2023年末の現在、アンバー・ハードは俳優としての待機作はゼロの状態だ。 映画ファンの多くは、ジョニー・デップの当たり役である『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウとしての勇姿をもう一度観られるかどうかが気になっているはず。こちらは2023年の現在、シリーズ6作目の脚本が完成したとのこと。撮影を待つばかりだが、ジョニーの出演の話は出ていない。ただ可能性はゼロではないようで、アンバーからのDVの訴えによって降板させられたジャック・スパロウにジョニーが復帰できたときこそ、この“泥沼劇場”の本当の終結だと言えるのではないか。2024年も、ジョニーとアンバー、2人の動向は引き続き、注目を集めることだろう。
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito