野菜食べない愛知県人に新提案 絶対おいしい「あいちサラダめし」って何?
「伝統野菜」の普及にも
この日は他にも薄焼き卵を敷いて「鉄板ナポリタン」風にしたり、モヤシをベースにしてより「台湾ラーメン」色を強くしたり、スクランブルエッグとマヨ・マスタードで洋風にしたりといった3種を披露。今後は県内の飲食店と連携して、さまざまなアレンジを提案していくそうです。すでに賛同した飲食店が複数あり、1年間で100店舗の参加を目標としています。公式サイトも公開され、外食での展開を紹介しながら中食、そして家庭での定番メニュー化も狙います。 実行委員の一人、高木幹夫さんは農協の営農指導員から、東海地方初の「野菜ソムリエ」の最上級資格者となり、「あいちの伝統野菜」の普及にも力を注いでいます。 日本でもかつては、その土地の風土に適した多様な野菜が育てられていました。愛知でも守口大根をはじめ木之山(このやま)五寸ニンジン、縮緬(ちりめん)カボチャ、天狗(てんぐ)ナスなど、それぞれの味と形の野菜がありました。 しかし、それらの野菜は栽培が難しく、収穫しても不ぞろいでスーパーなどでの大量販売には向いていません。日本の野菜は形や品質をそろえやすい「F1(エフワン)」という品種に置き換わり、そのタネは今や9割が海外生産。農家は毎年、種子メーカーからF1品種のタネを買って、均一な野菜を育てるようになりました。 高木さんはこうした流れに危機感を抱き、2013年に「あいち在来種保存会」を設立。昔ながらの伝統野菜のタネを収集し、実際に育ててコツコツと増やしていく活動を始めています。県も「あいちの伝統野菜」として35品種を指定し、栽培や消費を促進するようになりました。 「その流れで今回のサラダプロジェクトにも参加しました」と高木さん。今は伝統野菜が旬ではないため、この日のメニューには採用されませんでしたが、徐々に伝統野菜を取り入れてもらいます。 「旬の伝統野菜が使われることで四季も感じてもらえる。普及のいいチャンスだと思うので、頑張って育てていきたい」と意気込む高木さん。さまざまな思いも一皿に盛り込まれるサラダとなりそうです。 (取材・文・撮影:関口威人/Newdra)