【ランボルギーニ・レヴエルト試乗記in富士】 電動化によって実現した、操れる1015ps
その真価は1015psにあらず?
フロントに仕込まれた2モーターの狙いは、AWDの成立はもちろんベクタリングにあることは言うまでもない。これまで筆者は2代目ホンダNSXやフェラーリSF90でフロント2モーターのミッドシップスーパースポーツを体験したことがある。 NSXのそれはすぐに作動感が分かる粗っぽい感覚で、ドライバーが想像している以上に曲がるので面白かった。けれどレヴエルトは仕上がりのレベルが違った。前輪が積極的に駆動するからAWDっぽいのではなく、スタビリティの高さが2駆とは全く違うレベルにあるのでAWDとわかるのだ。 ベクタリングに関しても作動感はほとんど看破できず、ひたすらナチュラルに4輪のグリップ感だけが伝わってくる。アヴェンタドールの場合はリアの重みとアンダーステアに気を付けながらドライブする感じだったが、レヴエルトは車重が気にならず、コーナーの中間から積極的に踏んでいける。 ついつい1015psという数字にスポットを当ててしまいたくなるが、電動化を味方につけたレヴエルトの真価は、誰でも容易にその大パワーを操れる点にあるのだ。 複雑な機構を内包しながら、いきなり完成度が高いランボルギーニ・レヴエルト。唯一残念に思ったのは、9000回転超のレブリミットを誇るV12エンジンの回転フィールや音がそこまでクローズアップして感じられなかったこと。ともあれ想像以上のフラッグシップ交代劇が起こったのである。
吉田拓生(執筆) 小川和美(撮影) 平井大介(編集)