車は真っ直ぐ走らない? ハンドリングの良い悪いとは
先ほど「たわみ変形がいっぱいになった途端に反応が起きる。反応がリニアでないからドライバーは混乱する」と書いたが、スポット溶接ではバクバクのせいで、そういうことが起こりがちなのだ。メーカーの発表値でねじり剛性何パーセントアップなどとよく書かれているが、これはボディを台の上に乗せて何キロの力を加えた時に何度ねじれたという測り方をする。専門的には静加重というのだが、走行中の車体に加わる力の多くはそんなに長時間かけて加わるものではなく、もっと瞬間的な力だ。瞬間的な力がかかると、先ほどの合わせ目のバクバクが起きて歪みがでる。そういう現実的な剛性の面でレーザースクリューウェルディングや構造接着剤は高い効果を発揮するのだ。 そういう新技術の導入によって瞬間的な歪みがなくなることで、ハンドルとタイヤの間で力が逃げてしまうことが減った。だからタイヤからのインフォメーションも電動パワステがモノマネで補わなくても良くなった。モノマネじゃない本物のインフォメーションだから嫌な感じがしない。森氏はそれを聞き出してようやくクルマの違いに納得するのだ。 今回はハンドルとタイヤの間での力のやり取りを阻害する要素の面からハンドリングの話をしてみた。実は泥沼の様に奥深いハンドリングの話の極めて入り口に過ぎないのだが、それでも結構多くの要素があるのである。 (池田直渡・モータージャーナル)