「負けたままでは終われない」…柔道・斉藤立、脊髄損傷寸前で復帰に1年 再起へ悲壮な決意
柔道のパリ五輪男子100キロ超級代表、斉藤立(JESグループ)が雌伏の時を過ごしている。初出場の五輪は個人5位、団体戦では自身が決勝でテディ・リネール(フランス)に2度敗れるなどして銀メダル。4年後のリベンジに向けて再スタートを切ったさなか、違和感を覚えていた首が重傷だったことが判明した。手術に踏み切り、実戦復帰まで約1年かかることになった。五輪2大会連続金メダリストの故斉藤仁さんの次男で、まだ成長が期待される22歳。「俺はこんなもんじゃないと思ってる。負けたままじゃ終われない」と悲壮な決意を口にする。 【写真】柔道グランドスラムの観戦に訪れ、報道陣の取材に応じる斉藤立 ■五輪後に訪れた岐路 パリ五輪のメダリストたちが華々しくメディア出演している中、斉藤は人生の岐路に立たされていた。10月末、頸椎(けいつい)ヘルニアで首を手術。約2週間の入院やリハビリを経て、12月8日にグランドスラム(GS)東京大会の会場を訪れ「少しでも首にインパクトがあったら脊髄損傷になるような状況だった。ラグビー選手なら手術しないと引退しかないといわれて、手術するしかなかった」と明かした。 最初に異変を感じたのは3月下旬。右手先がしびれることがあり、5月に入ると力が入りにくくなった。同月の海外遠征の移動中に背中に激痛が走った。その後は痛み止めを服用しながら調整を続け、パリ五輪を戦ったが、帰国後に休養を挟んで練習再開したときには悪化していた。精密検査を受けた結果、ヘルニアだけでなく脊柱管狭窄(きょうさく)症が危険な状況になっていたことが判明。メスを入れるしかなかった。 ■強化プランも白紙に 4年後のロサンゼルス五輪に向け、この1年は肉体改造や海外合宿など、土台を作り直す予定だったが、プランは白紙に。気落ちしたが、励ましの声も多く届き「どん底だと思っていたけど、そういう人たちがいるということで、全然どん底ではないと思った。また頑張るしかない」と懸命に前を向いた。 本格的な練習復帰までは約半年かかる見通しで、実戦復帰は来年11月の講道館杯を目指している。「今はゼロになったので、やることが全部プラスになっていく。首以外、もともと弱かったところもしっかり鍛え直してしっかり土台を作っていく」と足元を見つめた。
【関連記事】
- 【ボクシング】辰吉丈一郎の次男、辰吉寿以輝が18戦目でタイトル初挑戦 「もちろんKO。それが辰吉家の美学」 王者の中嶋一輝「倒せるときに倒せたら」
- 【ボクシング】武居由樹、早期の対戦を熱望していた那須川天心に「フラれたんだろうな」と肩落とす 「じゃあお前もう1本持ってこいよ」と統一戦での対戦要求
- 【ボクシング】辰吉丈一郎の次男・辰吉寿以輝「必ず這い上がります」 タイトル初挑戦での衝撃的な失神TKO負けから一夜明け再起を表明
- 【ボクシング】王者の中嶋一輝が辰吉寿以輝を圧倒 2回TKO勝ち「もう立ってこれへんと思った」
- 柔道・GS東京 パリ五輪銅メダルの男子73㌔級橋本壮市は準々決勝敗退 敗者復活戦に回る