「瀕死の猫が必死に生きようとする姿見てたら、ガンごときに負けてたまるかという気になりましたわ」【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集㉔】
「瀕死の猫が必死に生きようとする姿見てたら、ガンごときに負けてたまるかという気になりましたわ」
プロ生活50年の間にはさまざまの人と出会い、応援してくれる人も大勢いました。下積みの時に出会えた人とは今でもおつき合いさせてもらっています。用具用品メーカーも相手がノーと言わん限り、自分から契約を切ったことはありません。縁を大事にしたいからです。 この猫、ボクにとっては守護神ならぬ、守護猫でした。縁があったのでしょう。それ以来、我が家では町じゅうの野良猫、全部来いいうことで、朝、庭で餌をやるのがボクの日課になりました。 あれは前立腺ガンを告知されて間もない頃でした。近所で車に轢かれて息の絶え絶えになっている猫がいたんです。それで家に連れてきて、救急車呼んだら、ダメ、もたんと宣告されました。 それでもあきらめきれずに、近くの動物病院に連れていったら、何とか助かったんです。しかし、腹を押してやらんと、自分でうんこもできんし、後ろ脚を轢かれたために動く時には前足で引きずって歩くことしかできません。それでも少しでも前へ歩こうと一生懸命生きてる。この生命力を目の当たりにすると、猫でさえ、こんなに懸命に生きてるやないか、ガンなんかに負けてたまるかと思ったんです。 これは後で聞いて知ったのですが、ちょうどその頃、PSAマーカー値が上がって医者から嫁さんには強く手術をすすめられていたんですよ。しかし、その猫をみていて、手術は断じてすまい、抗男性ホルモンを投与しながら現役を続けようと思ったわけです。 もし猫がいなかったら、手術を受けていたかも分りません。そしたら、今頃現役は続けていられなかったでしょうね。 文/古川正則(ゴルフダイジェスト特別編集委員)
みんゴル取材班
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