横浜DeNA尚成が語る、引退を撤回させた家族の言葉
メジャーから5年ぶりに日本球界に復帰した高橋尚成(登録名・尚成、38歳)の独占インタビューの後編。横浜DeNA入りを決めた理由と、4年間のメジャー生活の栄光と苦悩の日々を聞いた。 横浜DeNA 尚成 独占インタビュー「巨人戦ワクワクする」 ――1度は引退を考えたとも聞きました。 「昨シーズンは、駄目ならば、辞めるつもりで臨みましたが、結果として、納得のできないままに終わりました(カブスでのメジャー登板、わずか3試合)。自分の気持ちが、『これ以上、野球を続けても、どうかな?』と引退に傾いたことも確かです」
■「パパ、もう少しやれば、子供たちの印象に残るから」 ――けれど、引退を撤回、5年ぶりの日本球界復帰を決断されました。 「中畑さんと、DeNAの熱意もありました。悩んだけれど、家族も僕の回りの人も、『もっとやれる!もう一回やれるよ』と応援していただき、みんなの言葉に背中を押されました。もう一度、華やかなマウンドに立ちたい。先発のマウンドに立ちたいという気持ちが強くなってきました」 ――色んな方に相談をされたのですね? 「特に家族ですね。嫁は、『パパ、もう少しやれば、子供たちにも印象に残ると思うから。もう一回、日本でやってみたらどうなの?』と言ってくれました。上の子も下の子も、後押ししてくれました。家族の支え、そして、ファンの方々の支えがあって、もう一度、やる気が出たんじゃないですかね」 ――もし横浜DeNAからの熱心なオファーがなければ? 「どうですかねえ。わからないですね。他の球団でやっていたかもしれない……。ただ、駒沢大学の先輩でもあり、巨人の先輩でもある中畑さんのために力になりたい、やってみようという気持ちが強かったですね」 ■「なんなんだよ?」という葛藤 ――メッツでのメジャー1年目は、先発、中継ぎ、抑えとフル回転の大活躍をされました。ヤンキース戦に先発、チェンジアップで、ジーターをきりきり舞いさせたシーンが印象深いです。だが、その後、球団をいくつか渡り歩き、4年目の昨年は、衛星放送で投げている姿を見れなくなりました。なぜ、そうなってしまったのですか? 「葛藤ですね。アメリカは契約社会です。自分の『ここをやりたい』という思いと、『いや、おまえはここだ』という契約との狭間での葛藤です。昨年は、マイナー契約からはじまったカブスで開幕メジャーを勝ち取ったんですが、何も悪いところがなかったのに、いきなりマイナーに落とされた。アメリカは契約社会ですが、『なんなんだよ?』という葛藤がありました」