アメリカでは一般的な「赤ちゃんの頭のかたち」改善治療。矯正ヘルメット治療は、生後6ヵ月までに始めるのがベスト。費用や期間は?専門医が解説
成長しても、自然に頭のかたちが治らない子は多い
「赤ちゃんの頭のかたちが気になるけれど、頭蓋形状矯正ヘルメット治療ってどんなもの?」と気になる方もいると思います。頭蓋形状矯正ヘルメット治療は、赤ちゃんが矯正ヘルメットを抵抗なくかぶれる時期に行うのがベストなため、治療できる時期が限られています。ベストは生後6ヵ月までに治療を始めることです。そのため治療を希望する場合は、早めの受診が必要です。日本で初めて頭蓋変形ヘルメット治療専門クリニック「赤ちゃんのあたまのかたちクリニック」(東京都港区)を開設した、院長 高松亜子先生に、頭蓋形状矯正ヘルメット治療の基本について教えてもらいました。 【画像3枚】頭の変形の一例を図解で見る 「赤ちゃんのあたまのかたちクリニック」を開業したのは2019年です。 赤ちゃんの頭のかたちに悩む親御さんは、以前からいたのですが、ひと昔前は乳幼児健診や小児科などで相談しても「成長すると髪の毛が増えて目立たなくなる」「はいはいしたり、歩いたりできるようになると、だんだん目立たなくなる」というアドバイスで終わっていたことが多かったのです。また、以前は、病気でない限り、頭のかたちを深刻に考える医師も少なかったです。
米国ではSIDS予防で仰向け寝が推奨されてから、頭のかたちの問題が多発
アメリカでは、1992年に米国小児科学会が乳児突然死症候群(SIDS)の予防を目的として、乳児をうつ伏せ寝でなく、仰向けで寝かせることを推奨するキャンペーン(Back to Sleep campaign)を開始しました。このキャンペーンでSIDSは減少したものの、赤ちゃんの頭の変形に悩む親が増えました。 そのためアメリカではさまざまな治療方法が模索され、乳児のうちに頭蓋矯正を受けることが急速に広まりました。 矯正ヘルメットは、乳児期に長期間にわたってかぶるため、正常発育を妨げる可能性を危惧したアメリカ食品医薬品局(FDA)が製品の認可を行うことになり、1998年に初めてCranial Technology社が認証を取得しました。現在までに53品目の矯正ヘルメットがFDAから医療機器としての認可を受けています。 ■アメリカでは、赤ちゃんの頭のかたちの治療は一般的 アメリカでは1998年以降、赤ちゃんの頭の形を治すのにヘルメット治療の有効性が確認され、一般的な治療方法として認知されていましたが、日本ではそのような治療法は確立しておらず、当時はアメリカに行って治療を受ける日本人の方もいました。 頭のかたちがいびつだと、子ども自身のコンプレックスにもつながります。重度の変形がある場合は、耳の位置が左右非対称になることもあります。 「アメリカに行かなくても、日本で適切な治療が受けられるようになれば…」という思いから、国立成育医療研究センターで「頭の形外来」に創設メンバーとして参画しました。そして、もっと多くの赤ちゃんを診るため、自ら専門クリニックを立ち上げることにし、週5日、頭蓋矯正治療と乳児発達支援に取り組んでいます。