自動車認証不正問題であぶり出された課題
「報道部畑中デスクの独り言」(第372回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、国内自動車メーカー各社の認証試験不正問題について―
2024年6月3日、自動車業界に衝撃が走りました。 自動車の大量生産に必要な「型式指定」について、5社で不正の報告があったことが国土交通省から明らかにされました。先のダイハツ工業の認証不正を受け、国土交通省が現状について報告を求めた結果です。 午後4時マツダ、午後5時トヨタ自動車、午後6時ホンダ……自動車各社はこの日、1時間刻みで緊急の記者会見を行いました。上記の3社のほか、ヤマハ発動機、スズキでも不正が明らかになり、国土交通省はこの5社に対し、順次、立入検査を行いました。 改めて不正の内容をおさらいしておきます。 ■トヨタの場合 ★エアバッグの認証試験で本来の自然起爆ではなく、より厳しい衝突条件を作り出すため、タイマーで時間指定した自動起爆による開発試験データを、認証データとして申請した ★歩行者の頭部ダメージの試験で衝撃の角度をより厳しい条件で行った開発試験データを認証データとして申請した。 ★後面衝突で燃料漏れなどをチェックする確認試験で、本来1100kgの台車を使うべきところ、北米基準の1800kgの台車で得たデータを使った ★エンジン出力試験で狙った出力が得られなかったため、コンピュータ制御を調整した ―― エアバッグ試験については、自然起爆では速度、衝撃によってばらつきが出ます。設計通りの精緻なデータを得るには、タイマー起爆の方が適切と解釈したということです。歩行者衝突試験は、人体に見立てた鉄球をぶつける際に、衝撃角度を国内基準が50度のところ、より条件が厳しいとされる欧州基準の65度で試験を行いました。同様に歩行者衝突試験で、測定部位を左右逆で行ったものがありました。つまり、輸出仕様の左ハンドル車のデータを流用したというものです。設計上は左右で条件が同じということで、安全性には問題ないとしています。後面衝突試験は大型車の多い北米基準で、より大きな衝撃となる重い台車で実験を行いました。エンジン出力試験については、出力が得られなかったことによる不正な操作と言えますが、その後、原因が排気管の問題であったことがわかっています。