自動車認証不正問題であぶり出された課題
そして、何よりも認証制度を現代の基準に合わせるために最も大切なのが、自動車業界と国土交通省の「相互信頼」だと思います。もちろんこれは「癒着」という意味ではありません。安全・環境を守るため、そして自動車産業の発展のため、目標に向かって何が必要なのか、それこそ「官民」一体となって真剣に取り組むことだと思います。 「日本の型式指定制度は、国連の自動車認証制度WP29 の枠組みと調和したものとなっている。試験方法も国連基準に沿った取り扱いにする必要がある。その上で、各国で規定する認証の提出書面に関する手続きは合理的なものになるよう見直しをやってきた。これからもメーカーとの意見交換はしっかり行いつつ、合理化できる部分は合理化していかなくてはならない」 斎藤鉄夫国土交通相は4日の記者会見でこのように述べました。認証制度の見直しに前向きな姿勢を示しながら、これまでの反応を正当化する発言には「われわれは間違っていない」という姿勢が見え隠れします。 一方、自動車メーカーにはトップの発言を聞いていると、おわびはしているものの「お上の言うことを仕方なしにやっている」という「面従腹背」の姿勢も感じます。自動車ジャーナリストの大御所だった三本和彦さんは存命中、「日本のメーカーは役所に言われないと何もしない」と業界の対応に疑問を呈していました。あれから四半世紀、時代は下っていますが、一連の問題はこうした官民の関係から噴き出してきたものと感じざるを得ません。そんな問題で割を食うのはいつもユーザーです。 国土交通省は有識者らによる検討会で今後の対応を議論し、夏ごろの取りまとめを目指しています。国際基準もにらみ、日本自動車工業会をはじめとする業界団体が今後どんなアクションを起こすかも注目です。 (了)