京都府・福知山高校自然科学部が2学会から最優秀賞 由良川水系の魚生息状況調べ
京都府福知山市土師、福知山高校の自然科学部が、日本水産学会秋季大会の高校生ポスター発表の部で最優秀発表賞を受賞し、環境DNA学会つくば大会の中高生オンライン発表会でも最優秀賞を獲得した。古里の川・由良川を対象に、環境DNA解析により、水域に生息する魚類の種類と分布を調査した結果を発表。部員たちは「2つの名誉ある大会で最高賞をいただけて大変うれしい」と喜んでいる。 同部はこれまで、身近な河川の由良川で生物調査をしてきた。今回は、水中にある魚由来のDNAを採取して解析し、生息状況につながる情報を集めた。 調査は昨年7月下旬から、現在の3年生が中心になって福知山、綾部、南丹3市にまたがる由良川上流域の本流と支流の計10地点で採水し、DNA解析を専門機関に依頼。その3年生が引退し、活動のバトンを受け継いだ1、2年生たちが、分析結果をまとめてポスターを作った。
特徴的な魚類群集が支流に存在の可能性
調査の結果、由良川水系上流域では17科43種の魚類を検出した。 さらに魚種の分布特性を調べたところ、支流の上林川上流域でアブラハヤやカジカのDNAの量がとりわけ多く、オオクチバスやブルーギルなどの外来種のDNAは検出されず、ほかの流域とは異なる魚類群集が存在する可能性が示された。 また日本海へとそそぐ由良川の上流で、瀬戸内海系淡水魚であるオヤニラミなどのDNAを検出。これによって、過去の地形変化の影響で、瀬戸内海へと流れ込む加古川の流域の一部を由良川が奪う「河川争奪」が起こっていたことを確認できた。 日本水産学会秋季大会は9月に京都大学で開催されて19校(22演題)が参加し、プレゼンテーション、要旨、ポスターのデザインの3項目で競った。同部は1、2年生3人が審査委員14人の前で調査結果を説明し、内容の充実度、発表の分かりやすさなどが認められ、トップの最優秀発表賞を受けた。 11月に開かれた第7回環境DNA学会つくば大会では、秋季大会で説明した内容に加え、今夏に1、2年生の部員5人が由良川下流域でDNA解析調査を行った結果を盛り込んで発表。由良川流域全体の支流では、外来種のDNAがほとんど検出されなかったことなどを解説し、出場12校の中で頂点に輝いた。 2年生の荒谷武諒部長は「先輩たちがやってこられた調査の結果を引き継ぎ、発表することができて良かった。調査に関しては、京都大学フィールド科学教育研究センターの職員の方々にもお世話になりました。W受賞でみんなの努力が報われました」と話している。