「ケニアに行った日本人が?」「意外なことで現地の有名人に…」最後に手にした巨大魚に感動…。「興奮でガタガタと震えだしました」
トゥルカナ湖で、日本の友人と遭遇
次の日ようやく目的地に着いた私たちですが、再び湖が荒れて、とてもじゃないが釣りに出られる状況ではありませんでした。祈る思いで湖を眺めていると、荒れ狂う湖から一隻の木船が私たちのほうへ向かってきます。近づく木船に目をやると、見慣れたシルエットが現われました。実は私と同時期にトゥルカナ湖へ行くという日本の友人がおり、互いの旅を邪魔したくないという思いから広大なトゥルカナ湖のどこに行くかは伝えていないものの、偶然にもポイントが丸被りしていたのです。所詮釣り人の考えることは一緒か…と面白おかしくなりつつも、久々の再開を喜びました。 しかし、待てど暮らせどトゥルカナ湖の天気は回復せず、釣りができない日々が続きます。数日が経過したのち、私たちはエリアを大きく変える決断をしました。予算はギリギリ。体力も随分と無駄使いしましたが、ここにいても風が止む気配はありません。現状を打破するには自ら動くしかなかったのです。 ひとまずパーミットを再取得する必要があるので、大荒れのトゥルカナ湖を引き返し、プロボックスで拠点の町に戻ります。そこで数日間ゆっくり休んで態勢を立て直し、三度目のトゥルカナ湖に挑みます。
ナイルの賜物 ナイルパーチ
エリアの変更が功を奏したのか、嘘のように風は止み、すんなりと目的地に到着しました。寝床は地面にゴザを引いただけで、雨風をしのぐものもありません。 一通りの準備が済むまでは小型魚用の釣り竿で遊んでみましたが、ティラピアが面白いように釣れてくれます。これまで湖を目前にしながらも全く釣りができなかったこともあってか、気付けば半身を湖に付けて、夢中で釣っていました。 しかし本命はナイルパーチです。荷物を下ろし、釣りの準備ができた時点ですぐさま船に飛び乗り、釣りを開始します。広大な湖かつ情報が無い状態で魚を探す場合、一投一投キャスティングしていては埒があきません。このような場合に有効な釣り方としてトローリングかあります。 トローリングはルアーを水中に落とし、船の進む力で引っ張り続けて魚を誘う方法ですが、ただまっすぐ引くだけでなく、カーブする時の糸の角度や頻繁に変わる水深に合わせたルアー選択とロッド角度、何より日本のものとは比べ物にならないほど粗末なエンジンを駆使してベストな速度を見つけ、その速度を保つための漁師とのコミュニケーションなど、実際にやってみると想像よりも難しく、そしておもしろい釣りなのです。