ロシア取引所への仮想通貨200億ドル送金、米英当局が調査－関係者
（ブルームバーグ）： ロシアを拠点とする暗号資産（仮想通貨）交換業者を通じ200億ドル（約３兆円）余りの仮想通貨が送金されたとして、米国と英国が調査している。事情に詳しい関係者が明らかにした。ロシアへの制裁を逃れる金銭取引は、ウクライナを侵攻したロシアの戦費を支えており、同盟国は協力してこれを取り締まっている。
未公表の問題に関する情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、調査対象となっているのはモスクワの暗号資産交換業者「ガランテックス」を通じた送金。ステーブルコインのテザーが使われたという。米国と英国はガランテックスが金融犯罪と違法取引をほう助した疑いがあるとして2022年４月に制裁を科したが、送金はこれ以降に行われたと関係者は述べた。
ロシアがウクライナに侵攻して以降、バイデン政権はガランテックスなど暗号資産交換業者への締め付けを図ってきた。200億ドルが送金されたとすれば、対ロシア制裁の導入以来で最大級の違反になると関係者は指摘した。
調査は進行中で、仮想通貨取引の複雑さや不透明さを踏まえると結論を予想するのは時期尚早だと、関係者は述べた。テザーの発行元、テザー・ホールディングスの不正行為を示唆する証拠は今のところないとも関係者は語った。同社は英領バージン諸島に法人登記している。
テザーはドルとの等価交換を保証するステーブルコインで、1000億ドル余り相当が流通し、世界で最も取引されている仮想通貨だ。テザー・ホールディングスは米英の調査に関する質問に、米国の制裁リストにある団体の資産は全て凍結したと説明した。
「テザーでは全ての行為がオンラインで行われ、追跡可能であり、全ての資産は押収でき、犯罪者は全員捕らえられる。まさにその目的で、当社は法執行当局と協力している」と回答した。
ガランテックスはコメントの要請に応じなかった。米財務省と英財務省、国家犯罪対策庁はコメントを控えた。
